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ロシアのウクライナ侵攻2年[2024年02月23日(Fri)]

◆家の中でも吐く息が白い一日。
戦地と比べものにはならない温さとは言え。

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経帷子   野口米次郎


『君、経帷子
(きょうかたびら)を持つて来るには少し早やすぎるぢやないか。』
死は私の言葉に応じて、妙に微笑し、
『ほんの仮縫ひにですよ』と私に答へた。
『そこが余り緩
(ゆ)るすぎやせんかね、またここが固すぎる。
第一、僕はこの色が気に入らない。
何はさて置き、多少スタイルが無くてはね。』
彼は大きな笑を洩
(もら)して軽蔑(あざわら)ひ、
私にいつた、『御戯談
(ごじょうだん)ものですよ、
これはあなたの人生の着物を
一寸
(ちょっと)ひつくり返したのみぢやありませんか。』


高橋順子 編著『日本の現代詩101』(新書館、2007年)より


◆死神の狡猾・詭弁に籠絡されないためには、凍てや風に消えることのない希望の種火を身の内に絶やさぬこと。





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