
渡辺ひろ美「冬」[2023年12月27日(Wed)]
◆『こどもの詩 1990~1994』(川崎洋・編 花神社、1995年)からもう一つ――
冬 渡辺ひろ美
小さな生命の誕生のため
けっしてはなやかではないけれど
木たちのため
小さなものが 力をためるため
そのための冬
(*作者は、新聞掲載時、愛知県春日井市牛山小の六年生)
◆生きものも地面もピシピシ音を立て、歯をくいしばっているみたいな寒気の中でも、想像する力は決して凍りつかないもののようだ。
新羅万象の内側に蓄えられていくものの正体、それが発現するまでの時の歩み、それを感じているわたしの心臓の鼓動、それらがつながっていることへの揺るがぬ確信が、読む者を詩人と同じ場所に立たせる。