
磯部真一「なんで」[2023年12月25日(Mon)]
◆『こどもの詩 1990〜1994』から――
なんで 磯部真一
ねえママ なんで
にんげんて生きてるの
虫とか動物って
なんで生きてるの
神さまって
なんでいるの
ぼくたちのこと
ラジコンしてるのかなあ
川崎洋・編『こどもの詩 1990〜1994』(花神社、1995年)より
◆新聞に載ったこどもたちの詩のアンソロジーの続編。
この詩の作者は新聞掲載時、東京都東村山市の萩山小学校一年生。
◆「なんで生きてるの」と問われて大人は答えられない。
そのことを必死に考えた人がいることは知っていて、その人が書いた本の名なども挙げられる。
だが、それでこの問いに答えたことにならないことも知っている。
◆一方、こうした問いに簡単明瞭に断定的な「答え」を口にできるタイプの人間がいることも知っているのだが、それを子どもたちに言ってやるのは良くないと思っている。
なぜ良くないのか――その種の人間の言葉にはウソやゴマカシが含まれていて、時に致死量に達することが判っているからだ。