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田村隆一「Fall」[2023年09月19日(Tue)]

DSCN7233.JPG

ニラの花。土手などあちこちに咲いている。
これが咲いているとなると、彼岸花も咲くころのはず。
暑い今年はどんな案配だろうか。

*******


Fall   田村隆一


落ちる
水の音 木の葉
葉は土に 土の色に
やがては帰って行くだろう 鰯雲の
旅人はコートのえりをたてて
ぼくらの戸口を通りすぎる

「時が過ぎるのではない
人が過ぎるのだ」

ぼくらの人生では
日は夜に
ぼくらの魂もまた夕焼けにふるえながら
地平線に落ちていくべきなのに

落ちる 人と鳥と小動物たちは
眠りの世界に


詩集 『新年の手紙』(青土社、1973)所収。
現代詩文庫『続・田村隆一詩集』(思潮社、1993年)に拠った。

◆葉が落ちる(fall)「秋」は様々な物思いに誘う。

肉体の死と、あとに取り残される「魂」の問題――それは人間の意識にあらかじめ組み込まれたヒヒビや欠損として知覚されるようだ。
世界への違和もそこから生じ、「旅人」として外在化して通り過ぎる者を視るもう一人の自分。

朝がまた来るように、再び春の訪れがある、などと鳥たちは思っているのだろうか?


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