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辻征夫「アルバムの余白に」[2023年09月02日(Sat)]


アルバムの余白に  辻征夫


ぼく
六年B組の
(屋上からグライダーを飛ばすのが好きだった)
あの
ぼくです

お元気ですか
先生 なんて
死んだひとには失礼だけど
それでも
お元気ですか 先生
もしも御無理じゃなかったら
ちょっとぼくのこころにひびいてきてよ
ほら
よく言ってくれたじゃない
つよく!
あかるく!
とかなんとかさ
ながい月日がたったけど
(ヒューズがとんだり電池が切れたり)
ぼく 依然として
六年B組の
あの
ぼくです


長崎の被爆者だった楠本謹八先生いまやなし。
私は昨年、先生より一歳年長になってしまった。

辻征夫詩集『船出』(童話屋、1999年)より


◆このような哀悼のしかたもあるのだ、と不思議な感慨に誘われる詩。
「ぼく」が「依然として/六年B組の/あの/ぼく」であるのは、「先生」はいつまでも「ぼく」にとっての「先生」であるからだ。
目立つ振る舞いも数々の失敗も受けとめてくれた(その性向は今も変わらない)。

◆「先生」が経験した被爆を話してくれた日のことも今なお忘れていないどころか、ありありとよみがえる。
先生が語った「あの日」の長崎に「ぼく」は居なかったのだが、まるでそこに一緒に居るみたいな気持ちになったのも忘れない。
再召集されて当時広島に居た父が、山中に居て直接被爆を免れたことと思い合わせていたかも知れない(上記詩集の略年譜による)。



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