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堀田京子「どうして」[2023年06月04日(Sun)]


どうして  堀田京子


父さん 空はどうして
こんなに広いの
 亡くなった者たちの
 永遠の住処だからさ
母さん 海の水はどうして
こんなにしょっぱいの
 世界中のみんなの涙が
 集まっているからね
兄さん 山はどうして
あんなに高いの
 人生は険しい山登りと
 教えているのさ
姉さん 花はどうして
あんなにきれいなの
 一粒の種を残すために
 頑張っているからね
明日は どうして来るのかな
 それはね
 夢を実現させるためにさ


『吾亦紅』(われもこう)(コールサック社、2022年)


◆こうした巧まぬ言葉のやりとりが、当節はずいぶん造りもののように聞こえるかもしれない。
その罪の過半は、世のエラそうな人々の、おためごかしの話法によるように思える。

◆試みにこの詩を声に出して読んでみよう。

ここに登場する家族は5人か6人みたいだが、今独りの人も、父や母、兄・姉や私(僕)それぞれの役を演じ分けるように、声の高さやスピードを変えながら音読してみる。

肩が下がり首筋がちょっと伸びて感じられるのじゃなかろうか。
こわばりがほぐれると、自分の声が骨伝導だけでなく、周りの空気を震わせて耳からも聞こえてくるようになる。
いわば、自分によく似た誰かの声も重なって聞こえてくる。

そうして、これらのことばのやりとりが静かに教えてくれるものを、ゆっくり考え始める――歩いてゆけば険路や困難を避けることはできない、ただそれを乗り越えられるように私たちはできている――悲しいできごとにも美しいものに対しても、「どうして?」と問うことを忘れさえしなければね。
そう詩は語りかけ、家族と私、僕と世界を、前へと歩ませる。




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