
矢澤準二「戦争と平和」[2023年05月29日(Mon)]
戦争と平和 矢澤準二
引き足が間にあわず
後ろに倒れて腰を打った
これが退き時と判断し
十七年つづけた空手をやめて
太極拳の会に入った
先生は女性
生徒の八割も女性
入会してすぐ
近くの市民会館の会議室を借りて
ランチ会があった
ピザと飲み物を買ってきて
後は皆さんいろいろ持ちよって
サラダとか果物とか手作りケーキとかおかきとか
合間に「渾身の一枚」という写真披露のゲームもあって
ジュースとお茶で午後のほとんど
笑いとおしゃべりは途切れず
女子会ってこういうの?
父が九十を過ぎ
グループホームに入った時
集まって談笑しているのは女性だけ
男はぽつぽつと孤影をまもり
表情を消して正面を見ている
男ってまずいんじゃないの?
俺も男だけど
戦争の原因はこれか?
男も女子会にまぜていただくべきじゃない?
真面目に
詩集『チョロス』(思潮社、2020年)より
◆角突き合わせている大国のトップの顔ぶれを右に、女性リーダーがかじ取りをしている国々を左にと並べてみれば、「確かに」とうなずく人は多いかもしれない。
身近なところでは、店員さんをつかまえてはクレームをまくしたてる爺さんもまた、好戦派の隊列に加えてよいかもしれない。
◆ミソジニー(女性蔑視)度の高い我が国、物騒な事件が頻発することとも関係があるのだろうか。
★中島岳志氏が「テロの時代が始まった」と言う。とすれば、その先に待っているのは言論封殺と戦争の時代ということになるのだが。
5月29日【日刊ゲンダイ】
中島岳志氏が指摘「この国は再び『生きづらさ』に起因するテロの時代に入った」
⇒https://news.yahoo.co.jp/articles/cdffc950580e7338a88c4bd27885dcf9e9d26f54