
恵矢「種子(たね)」[2023年05月23日(Tue)]
たね
種子 恵矢(けいや)
わたくしたちは
しずかにくるってゆく
そっと握りしめて
希望に変える
★詩人は1971年生まれ。詩集『DANCE AGAIN』(土曜美術社出版販売、2016年)がある。
曽我貢誠/佐相憲一/鈴木比佐雄・編のアンソロジー『少年少女に希望を届ける詩集』(コールサック社、2016年)より。
◆《我々の安全保障政策は、核兵器は、それが存在する限りにおいて、防衛目的のために役割を果たし、侵略を抑止し、並びに戦争及び威圧を防止すべきとの理解に基づいている。》
――「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」(2023/5/19。外務省仮訳)の一節である。
核抑止論に完全に乗っかって、臆するところなく核武装を是認した文章だ。これにHIROSHIMAの名を冠する神経が信じられない。
「広島の人々、この国の人々に、『ともにくるえ』と言いたいのか?」――そうキシダ首相に問い質した記者がいたかどうか。
◆かくて「わたくしたちは/しずかにくるってゆく」 。
だが、グラグラする頭のままつんのめっても、手渡すことだけは忘れないようにしないと。
小さなものたちのやわらかな手に、希望のひとつぶを。