小島力「五人のデモ隊」[2023年02月20日(Mon)]
五人のデモ隊 小島力
「自分の意思を示すことが
民主主義だ」と大江さんが言った
「地球を守ろう」と太郎さんが叫んだ
人々々の明治公園
色とりどりの旗や幟やゴム風船
こんな集会に初めて出てきた
「自分の意思」で……
「集会が終わり次第
帰っていい」と娘が言った
「参加者があんまり多過ぎて
出発時間が遅れそうだし
デモのコースも長いから」と
「齢もトシだし 仕方がないか」
残念だけどもうなずいた
「タスキは結局無駄になったか」
心の隅でふと思った
百円ショップの障子紙折って
「脱原発」と大きく書いた
「原発被災者の会」と小さく書いた
ゆうべ一晩がかりで作った
タスキをバックに入れたままで
「被災者の会」はたったの五人
駅に向かって歩き始めた
「折角作ったタスキだから
かけて歩こう」と誰かが言った
「そうだそうだ」と
みんなが応じた
歩道の片隅で肩から下げた
「自分の意思を示すことが
民主主義だ」と大江さんが言った
一列になって駅まで二キロ
熟年五人がゆっくり歩いた
午後の陽差しを背中に浴びて
みんなの顔が晴れやかになった
後ろ姿が輝いて見えた
小島力(ちから)詩集『わが涙滂々 原発にふるさとを追われて』(西田書店、2013年)より
◆「明治公園」とあるから、3.11から半年後、2011年9月に開かれた「さようなら原発集会」だ。
千駄ヶ谷駅から大変な人波で、数万人規模の大集会となった。
あの会場に、とまどいながら「自分の意思で」加わり、手製のタスキを下げてデモ行進を歩いたこうした被災者も居たのだ。
「脱原発」と大きく書いた
「原発被災者の会」と小さく書いた
この二行に、初めて抗議の声を上げる庶民の心が表現されている。
小さな勇気が集まって大きな抗議の声となる。
◆3.11を目前にして「原発60年超運転」を容認した原子力規制委員会。
幾度目の変節だろう。
あの日の熱気をよみがえらせ、今また怒りの声を上げねばならない。
★「さようなら原発」のアクションとして、次の金曜日、ウクライナ侵攻1年への抗議デモがある。
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ロシアのウクライナ侵攻から1年
ウクライナに平和を!
2・24日比谷野音集会&デモ
日時:2月24日(金)18:30〜19:15
集会後デモ(鍜治橋駐車場まで)
場所:日比谷野外音楽堂
主催:さようなら原発1000万人アクション実行委員会
戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会
戦争をさせない1000人委員会
憲法9条を壊すな!実行委員会
憲法共同センター
★集会チラシは下から
⇒http://sayonara-nukes.heteml.net/nn/wp-content/uploads/2023/02/a33fddb9b012b666b1196dd5e1acf5c2.pdf