『Peace & Edu』第30号から〈その1〉[2023年02月06日(Mon)]
◆〈学校に「思想・良心の自由」を実現する会》の会報『Peace & Edu』が第30号に到達した。
創刊号が2012年の2月だから、11年間。ともかく続けて来られたことに感謝している。
「神奈川こころの自由裁判」の後継組織として、会員との情報共有ばかりでなく、神奈川県立学校の教職員の仲間および若い世代への発信を心がけて来た。
◆今号に《学びの場を世界標準へ》というタイトルのもと、3編の記事を載せた。
ここに順にアップして置く。
その1として、「日の丸・君が代」問題の現在地を取り上げた。
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学校における日の丸・君が代強制をめぐって国際機関から3度にわたる警告
セアート再勧告&国連人権委員会勧告を最大限に活かし人権を守り育てよう
@ 教職員の市民的自由を行使するために
◆セアート勧告――日の丸・君が代強制をめぐる教職員から国連への申し立てに対し、ILO+ユネスコ合同専門家委員会CEARTが、日本政府からの聴取を経て行った勧告である。2019年3月に続く2022年6月再勧告は日本政府と文科省に猛省を求めている。
◆勧告が立脚するのは、教員の専門職としての地位を定めた1966年のILO勧告=「教員の地位に関する勧告」。特に第80条、「教員は、市民が一般に享受している市民としてのすべての権利を行使する自由を有し〜」に照らせば、いかにこの国の教育施策が基本的な人権を縛り減殺する方向にのみ傾いてきたことかと思わざるを得ない。
A 子どもたちも強制のもとにある
◆昨年11月3日、国連の国際人権規約委員会は、これが教職員のみに関わる問題でないことを明確に指摘した。多岐にわたる「総括所見」から、報道は入管問題を大きく扱ったが、その38、39パラグラフで日の丸・君が代問題が子どもへの人権侵害であることを指摘している。
38.委員会は、締約国(日本)における思想及び良心の自由の制限についての報告に懸念をもって留意する。学校の式典において、国旗に向かって起立し、国歌を斉唱することに従わない教員の消極的で非破壊的な行為の結果として、最長で6ヵ月の職務停止処分を受けた者がいることを懸念する。委員会は、さらに、式典の間、児童・生徒らに起立を強いる力が加えられているとの申立てを懸念する。(第18条*)
39.締約国(日本)は、思想及び良心の自由の効果的な行使を保障し、また、規約第18条により許容される、限定的に解釈される制限事由を超えて当該自由を制限し得るいかなる行動も控えるべきである。締約国は、自国の法令及び実務を規約第18条に適合させるべきである。
◆すなわち、日本の法律とその運用を、思想及び良心の自由に関する『自由権規約18条』*に適合させよ、と求めているのである。児童生徒が拒めない形で起立を強いているという認識に立って、式典や行事は見直されなければならない。「慣行だから」とか、「清新な雰囲気で」 等を理由に子どもたちの内心の自由を縛り上げることはできない。強制を当然とみなす惰性を学校が克服するために、日の丸・君が代問題が現在も取り組まれなければならないゆえんだ。
*市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約) 第18条第1・第2項;
1 すべての者は、思想、良心及び宗教の自由についての権利を有する。(以下略)
2 何人も、自ら選択する宗教又は信念を受け入れ又は有する自由を侵害するおそれのある強制を受けない。
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【関連記事 1月12日の永野厚男氏の記事】
君が代強制に国連から3度目の是正勧告
(永野厚男氏『マスコミ市民』22年12月号の転載)
⇒https://blog.canpan.info/poepoesongs/archive/2556