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菊池唯子「散歩」[2023年01月06日(Fri)]

DSCN6514.JPG

田んぼに氷が張っていたものの、わずかながら日が長くなったと感じる。

*******

    
散歩   菊池唯子


歩く速さが好きなのは
流れることを知ったから
つぼみが目に入るのは
花開くことを知ったから

クロッカスが淡い雪の下に
土の中に積もる時が静かな石に
すでにだれかがさわっていった
遠い暮らしのかけらの上に

歩みを止めて耳を澄ますと
湖は雲の流れを映し
やわらかにしなる枝の先の
頂は雪

呼びかける人の姿が消えても
答えを知る手だてがなくても

はるか南から 春の気配


菊池唯子(ゆいこ)詩集『青へ』(思潮社、2022年)より


◆雪の下や土の中に在るものに想像力が働くのは、五感をやわらかに開いているからこそ。

動くもの、変化するものたちに自分がつながっていると知ることは、誰にもそうそう訪れるわけではない。


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