
「長崎追想 父・井上ひさしへの旅」[2023年01月02日(Mon)]
◆映画『長崎追想 父・井上ひさしへの旅』(監督:松村克弥)を観た(恵比寿の東京都写真美術館ホール)。
「母と暮せば」の映画化・舞台化を実現したこまつ座代表・井上麻矢による長崎への旅である。
浦上天主堂の被爆マリアの像、城山小学校、長崎大に残る被爆建築などをめぐる旅とともに、永井隆記念館の永井徳三郎館長(永井隆博士の孫にあたる)や、原爆資料館長も務めた作家・青来有一(嘉代子桜のある城山小学校の卒業生でもある)、被爆者・松尾幸子さんたちとの対話が重ねられて行く。松尾さんの父は、米軍の警告ビラが現実のものとなることを予期して8月9日当日も家族を避難させた。だがその父は……
◆映画の中で舞台の「父と暮せば」、「母と暮せば」の場面が映し出されると、客席から今まさに生の舞台を観ているようにこみ上げるものが伝わって来た。
芝居の力である。
◆個人的には十数年前、長崎に行きながら「二十六殉教者記念碑」(制作:舟越保武)に対面できなかったことが心残りでいる。
やっぱり、また長崎へ行かねば、という気持ちにさせるドキュメンタリー映画だ。

★東京都写真美術館ホールでの上映は1月3日/5日/6日。各日とも13:00&15:30の2回上映だ。
*同美術館では「星野道夫 悠久の時を旅する」展も開催中で、別様の体験で充実した時を持つことができる。映画半券による割引もあるので、映画の前もしくは後に+1時間ほど余裕を持って行くのがオススメだ。