
小泉周二「海と犬」[2022年11月23日(Wed)]
海と犬 小泉周二
海だよ
って言うと
犬は
海だよ
って
海に向かって
海を見ている
波だよ
って言うと
犬は
波だよ
って
あとずさりして
泡を見ている
風だよ
って言うと
犬は
風だよ
ってしっぽをふって
ぼくを見上げる
詩集『誕生日の朝』所収の一編。
現代児童文学詩人文庫9『小泉周二詩集』(いしずえ、2004年)によった。
◆海までそんな遠くないのに、この詩のような時を相棒と持ったことがなかったなァ、と悔やんでいる。
強い陽射しの土手道で、ずいぶん相棒を待たせている間も、川は休むことなく海へと注いでいるのだったが。