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日吉平「だれが困る」[2022年08月25日(Thu)]



だれが困る  日吉平(ひよし・たいら)


ここを押すと
どこかが出っ張る
ここを引くと
どこかがへこむ
見えない空気も詰みあっていて
押し合い圧し合い
地球の上で
譲り合っている

だから低気圧が腹を立てても
高気圧が受け止める

おまえが駄々をこねると
だれかがへこむ
困らせるために泣くのだろうが
そうして気を引くつもりなんだろうが
おまえが泣くと
だれが困る?



詩集『わらべ詩(うた)(創風社出版、2017年)より


◆昨日、「ものごとを対(つい)としてとらえることが常であれば」という言い方をした。この日吉平という詩人は、世界をそんな風に見ているように感じたからだ。この詩もそう。

もう一つ付け加えれば、その対の一方に自分が居て、もう片方に花や生きものや人間たちが居て、互いの関係や影響の及ぼし合いを感じているところが詩の生まれる場であるみたいだ。

別な言い方をすると、同じ世界に自分も他者もいて、どちらも「まさしく、いま同じ空気を吸っている」と感覚しているということだ。
こちらが息を吸えば、他方はその分少しだけこちらに吸い寄せられ、向こうが息を吸うと今度はこちらが少しだけ向こうに近づく。
この世界では、空気もまた、一つ器の中に詰めた水のように、どこかに力が加わると、全体にその力がビンビンと伝わる。

◆ここで対を成す相手は、未だ小さなわが子か(むろん、年ごろの恋人であっても、長い時間を共に重ねた連れ合いでも良い)。
「おまえが泣くと/だれが困る?」という言い方で結んでいるものの、ほんとは冷たく突き放したのじゃない。からかう口調に愛おしみがこもっている。


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