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〈肘高く弾け〉清水ひさし「空のピアノ」[2022年08月22日(Mon)]

清水ひさし詩集『空のピアノ』の標題作を――


空のピアノ  清水ひさし


若い作曲家の発表会の 一曲めをうたう
初舞台の新人歌手は
リハーサルのとき声が出なくなった

緊張をほぐそうと
作曲家は 彼女の肩をピアノに見たて
これからうたう曲をたわむれに弾いた
すると 伸びやかな声が流れだした

こんないい夢を見ることのできる自分は
まだ書けるかもしれない
失意に沈んでいた老詩人は
ベッドから降り 夜明け前の窓に立った

そして 夢の作曲家のように
余命半年の自分へ
空をピアノに見たて 肘高く弾いてみた



◆詩集あとがきによれば、1948年生まれの詩人は55歳の時に脳梗塞で倒れ、「詩がこなくな」った。
詩を書いていた証としてそれまでの作品をまとめた詩集『かなぶん』(四季の森社、2013年)が三越左千夫賞を受けたことを励ましに、リハビリと並行して俳句、水彩画などさまざまなことに挑戦した。詩の言葉がまたあふれ出すきっかけを探し求めたのだ。

地元の劇団に加わって即興劇の稽古をしていたときだった。予想できない相手の動きや言葉にとっさに反応しているうち、「体の奥で眠っていた何かが眼を覚ました」。詩が再びやってきた。

◆ピアノが歌を解き放つ。
詩も解き放たれるのを待っている。

肘高く 空を仰げ。


モネ_0001.jpg
『空のピアノ』(四季の森社、2022年)
絵:大井さちこ




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