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リッツォス「熱」[2022年08月17日(Wed)]


熱   リッツォス
        中井久夫・訳


岩。焰の真昼。大波。
海はわれわれを容赦しない。強い。やばい。上の方の路では
騾馬使いが叫んでいる。荷車には西瓜が満載。
それからナイフ。やわらかな切れ目。風。
赤い果肉と黒い種子。



中井久夫・訳『リッツォス詩選集』(作品社、2014年)より



◆田舎の兄からメロンを送ってもらった。
ありがたく頂戴しながら、ふと「西瓜は、今年未だ口にしていないな」と思った。

メロンに限らず、西瓜も最近はずいぶん早くから店に並ぶ。たいがい、しっかり冷房の効いた店の中で、「おや、もう……」という気分を味わうのが習わしになってしまうと、買って帰ろうという気にならないまま季節が過ぎている(「ゼイタクかな、やっぱり」と思っているうちに、という事情もあるけれど、それはワキに置いといて)。
演出された季節感に食欲が減殺されてきたのかもしれない。

◆上の詩は、そうした逡巡も理屈づけも全く許さない。

名詞がテンポ良く繰り出される。訳出に当たって、実際に音読してみる、と訳者は書いていたように思うが、この詩もそうだ。

◆どこにもあいまいさが無い夏の暑さの中に、かくあるべきものとして西瓜が登場する。

ナイフ一閃、西瓜が開く。「風。」の一語が、一瞬の動きによって現れたものを見事に表現している。
世界が闢(ひら)かれた、と言って良い。あざやかだ。



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