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北島(ペイタオ)「朝の物語」[2022年05月30日(Mon)]


         ペイ・タオ
朝の物語  北島
           是永駿・訳


ひとつのことばがもうひとつのことばを消しさる
一冊の本が命令を下し
別の一冊を焼き捨てる
ことばの暴力によってうちたてられた朝
そいつが改める朝の
人々の咳の声

蛆虫は堅いたねにむかって進攻し
たねはのろまな谷間からやってくる
のろまな人の群れの中から
政府はスポークスマンをさがしあてた
猫と鼠
よく似た表情をしている

空中の路
銃を帯びた森の番人が見張る
アスファルトの湖の上を
轟音とともにころがっていく太陽
かれは災難の音を聴いた
大火のあの思いのままにはじける音を


是永駿・編訳『北島(ペイタオ)詩集』(書肆山田、2009年)より

◆北島(ペイ・タオ)は本名趙振開(ヂャオチェンカイ)、1949年、北京生まれの詩人。文化大革命で学業中断を強いられたが、1970年から詩作を始め、雑誌編集者として活躍、当局の弾圧に抗し続けた。1989年、天安門事件を機に出国してアメリカ市民権を得、越境文学者として活動を続けている。

◆侵略や言論封殺が言葉を奪う例はこれまでの歴史に数々あった(日本が植民地とした韓国、台湾についても例外ではない)。
無論、目下のプーチン・ロシアによるウクライナ侵略においても同じだ。
使えるネズミは生かして置いて、スポークスマンとして引き立てさえする。

◆人々のしわぶきまでも支配し、文化を根底から破壊する非道に対して、怒りと諧謔を充塡して放つ紙つぶて。


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