CANPAN ブログ検索
Loading
  • もっと見る
« ウンベルト・サバ「仕事」(須賀敦子訳) | Main | ウンベルト・サバ「停車場」 »
<< 2022年08月 >>
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      
最新記事
カテゴリアーカイブ
月別アーカイブ
日別アーカイブ
ウンベルト・サバ「われわれの時間」[2022年05月07日(Sat)]


われわれの時間  ウンベルト・サバ
                須賀敦子 訳


一日で、いちばんいいのは
宵の時間じゃないか? いいのに、
それほどは愛されてない時間。聖なる
休息の、ほんの少しまえに来る時間だ。
仕事はまだ熱気にあふれ、
通りには人の波がうねっている。
四角い家並みのうえには、
うっすらと月が、穏やかな
空に、やっと見えるか、見えないか。

その時間には、田園をあとにして、
おまえのいとしい街を愉しもうではないか。
光に映える入り海と、端正に
まとまった容姿の山々の街を。
満ちたりたぼくの人生が、
川が究極の海にそそぐように、流れる時間。
そして、ぼくの想い、足早に歩く
群衆、高い階段のてっぺんにいる兵士、
がらがらと行く荷車に、駆けだして
跳び乗る少年。そのすべてが、ふと
静止するかに見えて。これら生の営みが、みな
不動のなかにたゆたうかに見えて。

偉大な時間、収穫をはじめたわれわれの
年齢に、よりそっている時間。


須賀敦子『ウンベルト・サバ詩集』(みすず書房、1998年)より

◆われわれの一生を、フィルムの早送りのように一日で表現した詩。

川が夕映えの海に辿り着いて《静止=聖なる休息》を迎える直前の時間。
おのがじしに実ったものは、いとおしみながら収穫しなければならない。どんなにささやかに見えようとも、それは次の朝を待ち受ける者たちの手に受けわたされる糧なのだから。





この記事のURL
https://blog.canpan.info/poepoesongs/archive/2308
トラックバック
※トラックバックの受付は終了しました
 
コメントする
コメント
検索
検索語句
最新コメント
マキシミリアナ・マリア・コルベ
コルベ神父のこと その2 (06/23)
タグクラウド
プロフィール

岡本清弘さんの画像
https://blog.canpan.info/poepoesongs/index1_0.rdf
https://blog.canpan.info/poepoesongs/index2_0.xml