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シェフチェンコ「静かな世界よ」[2022年02月26日(Sat)]

タラス・グリゴーリエヴィチ・シェフチェンコ(1814-1861)の、自由を求めて立ち上がれと呼びかけた詩を――



静かな世界よ  シェフチェンコ
             渋谷定輔・村井隆之 訳

賤いかな世界よ! 明るい世界よ!
自由な 美しい世界よ!
わが愛する世界よ! おまえの家で おまえを
一体何が 押しつぶしてしまったのだ
  なぜおまえは 縛られたのだ
  鎖につながれ かせをはめられたのだ
棺布で おおわれてしまったのだ
はりつけにされ とどめを刺されたのだ

とどめなど 刺されてはいない! 身震いして 立ち上がれ
われらの上で輝け!…
勇気をもって 引き裂こう 愛する世界よ
この胸くその悪い すねあてのおおいなぞ
香炉の火で たばこに火をつけようぜ
勇気をもって聖像箱をぶちこわし ペチカをたこうぜ
掃除しよう 愛する世界よ!
新しい部屋を 神父の灌水刷毛で

            1860年9月27日 ペテルブルグにて



渋谷定輔・村井隆之 編訳『シェフチェンコ詩集』(れんが書房新社、1988年)より


◆圧政のみならず、正教会もまた、ロシア人や農民を縛りつけていた。聖像箱を燃やし、洗礼に用いる刷毛で「新しい部屋」(われらを押し込めた「棺」のことだろう)を掃除しよう、と呼びかける。
権力と癒着し腐敗した宗教的権威の圧力に抵抗して蜂起せよ、と世界に檄を発したのである。

◆シェフチェンコは前年の1859年にウクライナに赴いたおり、農村で革命のプロパガンダを行ったかどで逮捕された。釈放後、ペテルブルグに戻ったが、ウクライナで暮らしたいという希望やみがたく、住居も求めた。しかし当局の許可がおりないまま、この詩を詠んだ半年後の1861年2月26日(露歴。新暦では3月10日)に息を引き取る。47歳であった。




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