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渦の中心[2022年02月19日(Sat)]

◆五輪フィギュアスケートをめぐるドーピング問題、ロシア女子のコーチの指導法や、出場年齢を引き揚げる話まで出てきた。
人生のほんの滑り出しに立っているにすぎない一選手が、大人の打算や欲望による環視のもと、渦の中心に据えられたまま深く氷の下に埋められようとしているような。

*****

円の中心  高橋英司


円の中心はとても淋しい
周囲からは無数の視線が降ってくる
常に監視されているので
身動きもできず もじもじ
眼を伏せては自分の足もとばかりを見つめている
コンパスの針穴に身を隠して
さり気なく周囲に眼を向けると
無数の視線は互いに牽制しあって
ピーンと張りつめ そのために
円はますます完璧な形を完成する
半径を越えて接近してくるものはない
それなのに 八方美人だとか何とか
軽蔑されることもある
せめて何分の一かが欠け 歪んでいれば
誰かに寄り添うこともできるのに
淋しさをまぎらすこともできるのに
ヒロインのように生きることは
本当に淋しいことだ
孤独に耐えることだ
沙漠で暮らす未開の種族は孤独を飼い馴らし
強固な意志で生を主張する
奉られた帝王は己を棄て
空虚な場にあることを目的とする
秩序は中心によって成り立つ
常に狙われ脅かされているので
とりあえずは
目印の針穴をできるだけ小さく
目立たぬように消してしまうことだ


新・日本現代詩文庫『高橋英司詩集』(土曜美術社出版販売、2002年)より



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