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新川和江「ちいさな川は…」[2022年01月30日(Sun)]


ちいさな川は…   新川和江


ちいさな川は
一日じゅう うたっている
鳥が はすかいに
つい! ととべば 鳥のうたを
白い雲がかげをおとせば 雲のうたを
風が川面(かわも)を吹いてわたれば 風のうたを
女の子が花を浮(う)かべれば 花のうたを
夜がくれば 空いっぱいの星たちのうたを



 『星のおしごと』(大日本図書、1991年)所収
 『新川和江全詩集』(花神社、2000年)に拠った。

◆身の内を流れる血液はわが命の証しであると同時に、新しい命を生み育むみなもとでもあるという確信がこの詩人にはある。
川の流れも同じだ。
それゆえに、生きとし生けるものとそれらを包む世界は、水に映った瞬間に水を震わせるようにして我が内なる竪琴に伝わってくる。

「つい!」という鳥のうたのけざやかなこと!



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