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木の実 鳥 言葉[2021年12月30日(Thu)]

◆落葉を片付けていたら、キウイが一つ転がっていた。鳥の突っついた痕がある。
何の鳥か分からぬながら、くちばしで突っつかれて実が枝を離れ、それに驚いて鳥は飛びすさったのだろうと想像された。
未完に終わった行為の名残だけが落ちたキウイの周りに漂っている感じがした。
後に残された物によって、少し前までそこにいた者のふるまいをむしろ生々しく想像させられるような。


*******


風にはこばれたもの  山内理恵子


ふりかえった記憶がほんの少し
遅れておいつくように
その枝に描かれた枝は
そこから小鳥がとびたったあとも
そこに翼をもった魂があった名残のように
しばらくは揺れていた
空はにごっていて
天使があがっていくきざはしのような
光が雲を割っていた
その先に天国はあったか
空高く胸を破る鳥の声が響く
だがその姿は見えない
耳鳴りの病のように
風は未だにさまよっているか
大地に木立ちは色彩を失って立ちつくし
そして何よりも
言葉は本来の意味を失い
問いかけの言葉は
いつの間にかわきにそれて答を待たず
地に堕ちてしまうのだった
それはもはや通じる言葉があるという前提に対する不信だ
世界はかぎりなく形のないものへと還元し
各々が信じるものへと向い二分する
存在は存在たろうとするが
それはいつもあやふやなままののしりあう
かつて言葉が生み出していたものが
そこではただ自らを支えるためだけに使われる
答えよ
大地に満ちる怨嗟の声よ
言葉よりこぼれ落ちた事実と思念よ
真実の木の実をついばみに
小鳥はどこへ行ったのか
答えよ
言葉にひきずられていく者たち
言葉の影がそこにあったからといって
額面通りのものがその言葉にこめられているとは
限らないのだ
瞑目せよ
いつか小鳥がつれあいをつれて
絵の中にもどってくる
その日まで


『詩と思想 詩人集2021』(土曜美術社出版販売、2021年)より




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