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金芝河「燃えつのる喉の渇きでもって」[2021年12月25日(Sat)]


◆香港の大学から天安門事件に関係するモニュメントが撤去されつつあるそうだ。
歴史修正主義が世界を席巻している時代、自由を求める市民の声がかき消され、よすがとなるものも痕跡をとどめなくなった時、頼りになるのは記憶というあいまいなものだけとなる。

◆国は違うが、韓国の金芝河の次の詩は、街を揺るがす人波、突き上げられた拳とシュプレヒコール、激しい衝突、当局の弾圧への人々の怒りを、生々しく碑に刻み付けたような言葉のうねりだ。

                       キム・ジハ
燃えつのる喉の渇きでもって  金芝河 
                   姜 晶中(カン・ジォンジュン)


新たな夜明けの裏通りで
きみの名を書く 民主主義よ
ぼくの頭はきみに見放されて久しく
ぼくの足どりはとっくに君を見失ったが
ただ一途(いちず)
燃えつのる記憶がひとつ渇いた胸奥(きょうおう)にあって
きみの名を
人目を避けて書く 民主主義よ

まだ朝日のあたらない裏通りのどこかで
響いてくる足音 呼び子の音 ドアを叩く音
鋭く叫び声を上げたあと崩れかかるだれかの悲鳴
呻く声 泣きわめく声 嘆く声
そのなか ぼくの胸の中に
深く深く刻み込まれるきみの名の上の
きみの名の孤独な眩しさの上の
生きのびる命の痛み
生きのびる あの青い自由の追憶
いま蘇る友人たち
引きずられていった友人たちの血まみれの顔
震える手 震える胸
震え 震え立つ怒りでもって
木の板に書く
白墨(はくぼく)で 不器用に

息をこらえ すすり泣きながら
きみの名を
人目を避けて書く
燃えつのる喉の渇きでもって
燃えつのる喉の渇きでもって
民主主義よ 万歳。


川崎洋・編『いのちのうた』(岩崎書店〈あなたにおくる世界の名詩…8〉、1997年)より

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