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嵯峨信之(誰がそこへ……)[2021年12月22日(Wed)]


(誰がそこへ……) 嵯峨信之


誰がそこへ辿りついたろう
未来の消えた乾らびた土地
だがそこをひとりの逞ましい盲者がゆつくり歩いていつた
その地方のそれが唯一の人間通過の記録である
その夜港の灯がすべて消えて
朝になると
港そのものが海底になだれ落ちたらしい

『嵯峨信之詩集』(青土社、1985年)より


『開かれる日、閉ざされる日』(詩学社、1980年)所収の無題の詩。短いながら黙示録のような世界だ。

未来を思い描くことなど不可能に思えるような乾ききった不毛の地。
ここを歩み過ぎる盲者の来歴も行き先も分からない。
強いて言えば、その地に足跡を誌したことを記録にとどめることがその使命。
すなわち「歴史」を刻むこと。

それさえ果たしたならば、浮華の港町が一夜にして消え失せようとも彼の知ったことではない。
それが彼のもたらした災禍なのか、恩寵として人々を見舞ったのかは、はっきりしないのだけれども、後の世の人々の想像力が試されることだけは確かなことだ。


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