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ナ・テジュ「ぼくが愛する季節」[2021年11月28日(Sun)]


ぼくが愛する季節   ナ・テジュ
      
          黒川星子・訳


ぼくが一番好きな月は
11月
もっと余裕をって選ぶなら
11月から12月中旬まで

落ち葉が散って、一本だけ立っている木
木々が踵を踏んばって立つ稜線(りょうせん)
その稜線を光が照らし あらわになった
黄土色した裸の土が
好きだ

黄土色の土の中には
時祭に出かけて
マッコリ二杯ほどで酔って
鼻歌まじりで帰ってくる
父の千鳥足が埋もれている

幼い兄弟たちと
石垣の角にもたれて立って
父が持ち帰るお土産の包(つつみ)を待っていた
夕暮れどきの腹ぺこの時間が
息づいている

黄土色の土の中には
ご飯代わりに母が
鉄釜で蒸すサツマイモの
香ばしい匂い ぼうっとした
陽炎(かげろう)が染み込んでいる

ぼくがいちばん好きな季節は
落葉が散った木の 根元まであらわになった
晩秋から初冬まで
その正直さと清潔さと謙虚さを
たまらなく愛する


  時祭:先祖をまつる儒教の祭祀


ナ・テジュ(黒河星子・訳)『花を見るように君を見る』(かんき出版、2020年)より

◆ナ・テジュ(나 태주、羅泰株)は1945年生まれの韓国の詩人。
上記詩集は、ネット掲載でブレイクした作品を収め「インターネット詩集」と銘打つ。
二人称で語りかける愛の詩が圧倒的に多い集中、異色の一篇と言えるかもしれないが、「その正直さと清潔さと謙虚さをたまらなく愛する」と心情を吐露して結ぶ言葉の運び方は、恋愛詩群と同じ骨法で、みずみずしく、若い世代の共感を呼んだことが納得できる。


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