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小野ちとせ「木洩れ日」[2021年10月17日(Sun)]



木洩れ日   小野ちとせ



老木が一本かろうじて立っている

近づいてみると
ひとまわり細い木が寄り添っていた
入り混じる葉は互いの枝に支えられ
木洩れ日を揺らしている

発芽した地点の巡り合わせに
適応しなければ生きられない植物は
たとえ切り立った崖の隙間にあっても
夢の城へとつくりあげてしまう

雨の日も雪の日も
葉は傘になり屋根になり
どちらからともなく手はつながれ
やくそくは交わされたのだろう

老木は静かに微笑んでいるようだ
光と風の想い出をうたいながら
つねに翌朝の小鳥の囀りを希求して
影の夢 その姿を整えてゆく


小野ちとせ詩集『微かな吐息につつまれて』(土曜美術社出版販売、2019年)


◆木はその姿を遠くから眺めても、間近で見上げても、さまざまな思いに誘う。
そこに自分の立ち姿を重ねていることは多い。
自分の来し方と、この先の姿が自然に連続したものであるかどうか、木に照らしてこちらが恥ずかしくないか、確かめるもののようだ。
結びの一行「その姿を整えてゆく」に、こちらも背筋が伸びる。

命あるものの老年に昔日の壮んな勢いはないだろうけれど、年長けてふさわしい姿というものはある。
人の目を意識してではなく、自分自身のメガネに適った姿でいるかどうか。




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