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塔和子「吠える」[2021年10月16日(Sat)]


吠える  塔和子



大人であることは
お客様むけの顔をして
そつのない話をし
行儀よく座り
自分をわきまえて行動し
ねじ仕かけの人形のように
型にはまっていなければならない
だからひとりになると
元気な子供のように
生気をとりもどした目の中から
私はだんだん破れてゆき
ひろびろとした湖を見る
そこで原始の動物のように
ぼうじゃくぶじんにふるまうと
大人の時間にたまった
怒りや悔しさや恨みやうっぷんが
塩酸でとける物質のように解消する
そして
自由な動物にかえった私は
原始に向って
うおっと
さびしくほえて見るのだ


詩集『いのちの宴』(編集工房ノア、1983年)より


◆「自分をわきまえ」た大人ばかりの世の中で、矯めた角、抜いた牙や爪を、捨てるに忍びずひそかに隠し持っている人がきっといるだろう。
元通りにならないにしても、それを装着して吠えてみることは、時々やったほうが良い。
さもないと、「自由」という言葉すら忘れてしまうかも知れないから。

吠えるために必要なのは「ひとりになる」時間と、「ひろびろとした湖」を現前させる想像力のみ。ほかに元手は要らない。




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