服部剛「天の賜物」[2021年09月30日(Thu)]
天の賜物 服部剛
小児科の医師は
私達の前で
紙を引っくり返し
周の染色体の写真を見せた
「正常よりも一本多いです」
二人で溢れる涙を流した
翌朝
僕は恩師に電話をした
「その一本の染色体に
天の息吹がこもっています」
「これから僕と嫁さんで
周が授かった賜物を探します」
携帯電話のスイッチを押した後
周の命そのものを信じよう…という
今迄とは何か違う
不思議な喜びが胸の内に広がった
服部剛(ごう)『詩集 我が家に天使がやってきた』(文治堂書店、2018年)より
◆詩集のタイトル「天使」は、愛息・周君のこと。
彼の誕生、ダウン症の告知を受け、それを親として、夫婦として、どう受けとめたかが歌われる。
「天の息吹」という表現、授かった一つのいのちを魂で受けとめたことが伝わってくる。
誰もがこのように言葉にできるとは限らないけれど、顔を上げたからこそ言葉も高い所から降りてきてくれたのだと思う。