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新川和江「教えてください どこにいればいいのか」[2021年09月27日(Mon)]

◆コロナ禍でいっそう露わになったことがあるのか、子どもたちのいたましい受難が続く。

むかし子どもだったと思えぬ大人たちが世にはばかっている。


*******


教えてください どこにいればいいのか

               新川和江



教えてください どこにいればいいのか
ときどきぼくは
不安でたまらなくなる
腰をうかして立ちあがり
いまいる場所を
うろうろと回ってみずにはいられない

どういうところなのだ ここは
世界のどこなのだ ここは
隣室には父母がいて
アルバムの中には
僕の幼い日の写真が貼ってあるけれど
小鳥がちょっととまっていった
小枝にすぎないのではないか
水夫が漂着した
島なのではないか ここは

ここへお掛け とつよい声で言ってください
宇宙の中で 地球が
夜と昼を どもることなく歌いつづけているように
鐘が
ひびきの中心に吊るされているように
古い森を叫ばせた斧が
日暮れは きこり小屋の板壁に掛けられるように
きょう坐り
そして明日も坐っていい
ぼくの居場所をつきつけてください
まだすっかりは育ちきっていない
ぼくの手で さわれるように 見えるように


新川和江『詩が生まれるとき』(みすず書房、2009年)より


◆「わたしの居場所がない」と言った子のことを時々思い出す。
大人に向かって精一杯ぶつけた言葉だった。
こちらが受けとめて、返してくれるように求めている言葉だった。

どんな言葉を返してあげられたか。
思い返すたびに、まだまともに答えていないんじゃないか、と自問を繰り返している。



新川和江「詩が生まれるとき」カバー.jpg



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