
落下[2021年08月13日(Fri)]
◆朝早くから救急車のサイレンが聞こえていた。
13日、全国の新型コロナ新規感染者は初めて2万人を超えた。
神奈川県は2,281人で、過去最多。
首都圏ほとんどの都県で過去最多(東京:5,773、埼玉:1,696、千葉:1,089)。
朝刊が伝える医療現場の一つに、家人が以前通っていた総合病院が出ていた。
昨年、早い段階から発熱外来を開設し、積極的にコロナ患者を受け容れてきた病院で、今回の感染爆発に対して病床を増やしたにもかかわらず、すぐ埋まってしまったという。
◆日本が今や世界でも感染者数が多い国の一つ、という現状。
もっと大変なところがあるじゃないかと思うのは全く慰めにならない。ブレイクスルー感染により亡くなった方の報に接すればなおさらだ。
スカ首相が繰り返す「安心」など、どこにもないと思い知る。
全国知事会が政府の対応を批判する声明を出した。当然のことだ。
*******
水の思想 嵯峨信之
大きな瀧でも骨格がない
生まれるとすぐから落下がはじまるからだ
しかし 水には思想がある
七色の論理でつづられる一つの無形の思想が
『小詩無辺』(詩学社、1994年より)
◆詩題通り、「水には思想がある」という感慨・認識がこの詩の中心なのだとは思うが、現下の不安な世情に身を置いて読むせいか、2行目の「生まれるとすぐから落下がはじまる」という一節の方に強い共感を覚える。