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自衛隊は政治権力の道具ではない[2021年07月29日(Thu)]

◆五輪、柔道の表彰式だったか、旗の掲揚を自衛隊員が行っている姿が映って、オヤ、ここにも……と思った。

◆先日の五輪開会式でも、運ばれてきた日の丸や五輪旗を掲揚したのは自衛隊の人たちであったようだ。

ある種の違和感を覚えた。
旗の持ち方、足の運び、ポール翻るのを見上げる姿に至るまで、旗を「捧持する」意識が強く感じられたのである。

彼らが捧げ持っているのは「国家」の象徴であるから、そこに国民は総体として含まれてはいるにしても、任務として旗の掲揚を行う以上、任命した上官や防衛大臣、ひいては最高指揮官である首相の命令によるものとなる。
そのために、彼らの日の丸掲揚は、国民を統治している機構とそれを差配する権能を持つ者を捧持する形になる。

掲揚台まで日の丸を運んだ人たちはかつてのメダリストたちや救急隊員。国民の代表として、ということになるだろう。
年齢も体格も歩幅も異なる彼らから日の丸を受け取った自衛隊の人たちは、一転して統一された足の運び、姿勢を維持しながら掲揚台に昇った。
引き継いだものは、みんなで運んだ団結の旗印なのだが、手渡した段階で恭しく「捧持」されるものに一変した、という印象を覚えたのである。

◆もうひとつ、五輪旗の掲揚を振り返っておく。
こちらは開会式の後半、五大陸や難民選手団を代表する選手たちによって運ばれ、選手宣誓に用いられた後、ポールに掲揚したのは同じく自衛隊の人たち。ここでも木に竹を接ぐような違和感を覚えた。

五輪旗掲揚では、何かを「捧持」するという意味合いは薄れ、旗の掲揚を整然と遂行する役割だけが要請されているように見える。だが、それを自衛隊が担う必然性が果たしてあるのか、と考えると、それは疑問だ。選手代表がそのまま掲揚まで執り行って構わないように思える。
不慣れからくるモタモタが多少あっても、IOC会長の冗長な挨拶よりは式典を和ませ、数段ふさわしいものになっただろう。

◆五輪はあくまでも平和を前提としたイベントであるところ、「実力組織」というソフトな装いを脱ぎ捨て、戦争のできる軍組織に変貌しつつある自衛隊が平和の祭典の各所に登場する形になっている。それが一番大きな違和感だったのではないか。

そう見てくると五輪に乗じた政権の意図が見えてくる。

◆自衛隊がスポーツイベントに関与する法的根拠は「自衛隊法」にあるという。
その条文は次のようになっている。

(運動競技会に対する協力)
第百条の三 防衛大臣は、関係機関から依頼があつた場合には、自衛隊の任務遂行に支障を生じない限度において、国際的若しくは全国的規模又はこれらに準ずる規模で開催される政令で定める運動競技会の運営につき、政令で定めるところにより、役務の提供その他必要な協力を行なうことができる。


より具体的には自衛隊法施行令に以下の定めがある。

(運動競技会の範囲)
第百二十六条の十二 法第百条の三に規定する政令で定める運動競技会は、次の各号に掲げるものとする。
一 オリンピック競技大会
二 パラリンピック競技大会
三 アジア競技大会
四 国民体育大会
五 ワールドカップサッカー大会
六 ラグビーワールドカップ大会
(運動競技会の運営についての協力の範囲)
第百二十六条の十三 法第百条の三の規定により運動競技会の運営について協力を行なうことができる範囲は、次の各号に掲げるとおりとする。
一 式典に関すること。
二 通信に関すること。
三 輸送に関すること。
四 奏楽に関すること。
五 医療及び救急に関すること。
六 会場内外の整理に関すること。
七 前各号に掲げるもののほか、運動競技会の運営の事務に関すること。


現行の条文はワールドカップなどがあるたびに活動範囲を広げるために改正が施されて来たもののようだ。
注意すべきは「関係機関から依頼があつた場合には……役務の提供その他必要な協力を行なうことができる。」とあることで、競技会主催者からの依頼と防衛大臣の応諾なくして実施はありえないことだ。本来的任務とは言えないものを、恒例のもののように扱うことはしない方が良い。

法律の素人として一点気がかりなのは、日本の法令である以上、競技会は日本国内で行われる競技会に限定しての定めだろうと思うのだが、そのことを明示した条文が見あたらないことだ。

サッカーWCについては日韓共同開催となったし、今回の五輪だって、フランス側から共同開催はどうか打診があったと聞く。五輪単独開催が困難になっている時代に、複数の国・地域で大会が行われる可能性はあるわけだ。
そうした場合に、あれこれ名目を付けて自衛隊を海外に派遣し武張ることはないか。
まさか武器携行はあり得ないと思うが、1972年のミュンヘン大会のような事件が勃発することはあった。(我が国と密接な関係にある国においてもしや何ごとか出来した日には?……)


◆自衛隊のツイートによれば、今大会における国旗等掲揚への協力は、全国から集結した陸海空自衛官約370名で構成されているという。

コロナ禍の人流削減に逆行するだけでなく、五輪の機会を利用して諸外国、国内双方に向けた顔見世を狙う、現政権の下心が見えるようで釈然としない。


前に書いたように、五輪憲章は「国旗」ではなく競技に参加するチームの旗と定義している。




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