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許炯萬(ホ・ヒョンマン)「現代の駱駝」[2021年06月13日(Sun)]


           ホ・ヒョンマン
現代の駱駝  許炯萬
                 吉川凪=訳


慌ただしげに風が吹き 砂を舞挙げるつむじ風が柱になって昇り その日から駱駝たちが 一頭二頭と 蜃気楼のようにゆらゆら揺れる火花を避けて 駱駝たちが 街路樹の木蔭を求めて集まりはじめ ある者たちは 新聞紙をかぶって地下鉄の駅に横たわり ふいに胸がじんとしてくる終点まで乗って行った 戻って来て再び横たわり ある者たちはソウル駅の狭い椅子にもたれてオアシスの夢を見 ふと夢から覚めると あてのない希望だとは思いつつ 汽笛の音に家族を乗せ 故郷の山河に見送り

雨の降る日 塀に向かって一列にしゃがんだ駱駝たち 配られたばかりの食事で飢えをしのいでいた このとき背中の瘤が曲線を描き 長い稜線を成していた その稜線の上に降り注ぐ雨よ 渓谷に沿って流れ流れて ついには乾ききった現代の砂漠を じっとりと湿らせなければならないだろう 枯れた草も起こし木も育て こどもたちの瞳にも青々とした生気を取り戻さねばならないだろう

 
『許炯萬詩選集 耳を葬る』(クオン、2014年)より


◆荒涼とした街に疲れた身を横たえる者たちは、いわば現代の砂漠に呻吟する駱駝にほかならない。1年延期された大運動会のために公園や駅の片隅からも追い出され、身を横たえることが出来ないように仕切りの付いたベンチにもたれながらも、楽園の夢を束の間見る。

◆だが、彼らは若い命を育むよう運命づけられた駱駝たちである。
飢えと渇きに久しく耐えながら、大地を潤す者たちである。

ひとりでは成し難いミッションを、つながることで果たそうとする。
彼らをつなぐのは希望という名のジョイントだ。




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