• もっと見る
« 旅立ち=「時」を脱ぎ去る | Main | 第五福竜丸の大石又七さん逝く »
<< 2024年04月 >>
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        
最新記事
カテゴリアーカイブ
月別アーカイブ
日別アーカイブ
鮎川信夫「往路」[2021年03月21日(Sun)]

DSCN4827.JPG
相棒との散歩に出れば、すぐ足もとにスミレたち。
相棒は目もくれないが。

*******



往路   鮎川信夫


夜明けの空の
透きとおる水晶体から
ひとつの星が輝き出し
非望の命は誕生する

折れてすぐに芽をのばす
人間の若木たち
朝な夕な 地面の下で
根を踏みならす音が聞える

美しい命の音とともに
これからの会釈は始まり
第一章の春の甘くかおる頁は
新鮮にめくられていく
        (一九八一年六月)


『続続・鮎川信夫詩集』(思潮社現代詩文庫、1998年)より


◆二十歳で作ったと言っても納得しそうなほどみずみずしい言葉たちだ。
1981年とあるのが制作年であるなら、還暦を過ぎての作品。
「非望の命」という表現に若くして逝った友らへの眼差しをうかがわせるが、来し方をふりかえる気分よりは、彼らの負託を受けとめるゆえに、第二の青春を生き始めた高揚感をもって目も耳も前方を向いている。


 
この記事のURL
https://blog.canpan.info/poepoesongs/archive/1895
トラックバック
※トラックバックの受付は終了しました
 
コメントする
コメント
検索
検索語句
最新コメント
タグクラウド
プロフィール

岡本清弘さんの画像
https://blog.canpan.info/poepoesongs/index1_0.rdf
https://blog.canpan.info/poepoesongs/index2_0.xml