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肌勢とみ子「安眠列車」[2021年01月26日(Tue)]


安眠列車   肌勢とみ子


電車が入ってまいります
専用車両にはどなたもご乗車になれません
黄色い線の内側にお下がりください

黄色い線は寝室の前の廊下に
もう少しだけ許されるなら
塀の外側に引いてください
ずっとでなくていいのです
私を乗せた眠りの電車が発車するまで
黄色い線から出ないでください
何の苦痛もないこの静かな夜に
このまま浸っていたいのです
いつもの喧騒の朝がくるまで

不安や痛みや諍いなど
あらゆる苦痛よ
今は来ないでください
しばらく黄色い線の内側まで鎮まっていてください
この幸福な眠りからわたしが目覚めるまで


*詩集『浄玻璃の鏡』(土曜美術社出版販売、2019年)より

◆大きな重い塊が夜の闇をまとわりつかせながら近づいて来る。
鉄と鉄が擦れる音は何枚もの毛布を通して聞こえて来るようだ。
蒸気機関車は、飴色の背もたれが並ぶ車両を従えて引き込み線を入って来る。
あるいは始発駅でないかも知れない。
なぜなら「わたし」はすでに車中の人で、列車の揺れに身を委ね眠りに就きつつあるようだから。

夜行列車があらかた姿を消した日本列島では、安眠列車の切符はもう手に入らない。



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