〈銀色にひかる雪の夜の……〉[2021年01月03日(Sun)]
リルケ『第一詩集』より 星野慎一・訳
銀色にひかる雪の夜の……
銀色にひかる雪の夜の城のなかに、
すべてのものが はるばると まどろんでいる
ただ わずかばかりの粗野の悲しみが、
孤独のたましいのなかに目ざめている。
きみは 尋ねる。なぜたましいは黙っているか、と。
なぜ、それは、夜のなかへ注ぎ込まぬか、と。
――たましいは知っている、もし、そこから立ちのぼるものがあれば、
それは、すべての星を、かき消してしまうだろうということを。
岩波文庫『リルケ詩集』(星野慎一・訳、1955年)より
◆「たましい」の「悲しみ」の深さは、ただ想像することしかできない。