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焚書[2020年07月06日(Mon)]

◆「国家安全維持法」が施行された香港で、図書館から民主活動家たちの著書が閲覧も貸し出しも出来なくなりつつあるという。収蔵図書の検索もできなくなっているそうだ。

現代版「焚書坑儒」が21世紀に行われつつある、ということだ。

【朝日新聞7/6記事】香港の図書館から消える本 「言論弾圧が広がっている」
https://www.asahi.com/articles/ASN756RHSN75UHMC002.html

◆焚書はナチス支配下のドイツでもあった。
本だけではない。多くの美術作品も「退廃芸術」の烙印を捺されて迫害・弾圧を受けた。
(作家ミヒャエル・エンデの父でシュールレアリスムの画家であったエドガー・エンデ〈1901-1965〉もその一人。)

むろん、治安維持法が猛威をふるった戦前の日本も例外ではない。
検閲がまかり通り、しばしば発売禁止や記事削除、もしくは×××の伏せ字で当局の忌諱に触れると判断されたものは国民の目から公然と遠ざけられた。

◆現代はどうか?
折しも来年度使用する教科書の展示会が各地で開かれているが、教科書もまた「検定」というシバリを受けている。それだけではない。各学校の自由な教科書採択が保障されるべきところ、特定の教科書を採択させない動き、あるいは逆に特定の教科書を採択させる動きが実際に教科書を使う学校現場を暗雲でおおってきた。
中学・高校での歴史教科書などを主な標的にして歴史修正主義陣営からの政治的圧力が、思想弾圧と同じ効果をもたらしているのである。

***


本を燃やす  ウィリアム・スタフォード
               長田弘・訳

たがいにささえあって、真ん中に直立して、
わずかなページが、長いあいだ燃えている。
カヴァーが最初に燃えつきる。それから、外側の紙が
捻じれてゆく。本の背が燃えて、ばらばらになる。
真実は、砕けやすく弱々しいから、簡単に燃える――
その炎は、嘘がつくりだす炎とおなじに、熱い。
真実も嘘も、炎は区別しない。黒焦げの言葉が
灰のなかに、たいてい、いくつかのこっている。

当てこみの、ただ見せかけばかりの本は
燃やしてしかるべきだ。もっと心みだされるのは
本の灰よりも、まだ書かれてもいない
すべての本――荒廃する町々、
無策がはびこる都市、動くものなら
何でも所有する野蛮なやつらが
めちゃめちゃにしている田園の光景――もし
本が書かれなければ、誰も本を燃やす必要はない。
無知は、炎で燃やせない。しかし、跳梁できるのだ。

だから私は、本を燃やした。まだ書かれてさえいない
たくさんの本がある。誰も書いていない本がある。



*前2回と同じく長田弘『詩は友人を数える方法』、〈V ワン・アンド・ロンリー〉より。
ウィリアム・スタフォード(1914-1993)は米カンザス州生まれの詩人。


◆「まだ書かれてさえいない」本は、過去の歴史ばかりでなく、未来の我々が直面する危機についても書かれるはずだ。
それらの検証されるべき真実を誰も書かなくなったら……





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