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佐々木幹郎「行列」[2020年05月15日(Fri)]

DSCN3346スイカズラ.JPG
スイカズラ。独特の形をした白い花と、先に咲いていて黄色に変わった花とが並んでいる。
夏にふさわしい強い香が漂う。

*******


行列   佐々木幹郎

行列のあたま
行列の過去を噛み
行列の口
行列の眼なし鼻なし
行列の衣は夜に溶け
行列の尻から火が付いても
行列の不安は解けず
行列の長さには理由がなく
行列の坊主が走り廻り
行列の声なく
行列の透明な
行列の中心にも
行列の恐怖はなく
行列の闇から闇まで
螢がとびかう


小池昌代/林浩平/吉田文憲 編著『やさしい現代詩』(三省堂、2009年)より。

◆作者にこの詩へのヒントをもたらしたものは夏の高校野球の行進だった、と吉田文憲は詩人の直話として紹介しているが、吉田自身は、この詩を最初に読んだとき、学生運動の蛇行するジグザグデモのようなものを連想したという。「蠢(うごめ)く群体にして、静まった一個の単体でもある…(略)…あるいはこうも言えようか。この群体=統一体の不穏な運動はどこか原生動物の細胞の蠢きのようでもあり、たえず生成する予測不可能なもの一切をその不穏な運動の中に未分化のまま含みこんでいる」、と。だからこの形態は、いつ、その形を変え、別のものに変化し、ときに暴力や祝祭的なカタストロフに向かって動き出すかもわからない未知の情動を感じさせるのだ。」

グラウンドからの応力を全身で感じながら整然と進もうとする球児の行進も、肉体をつなぎ合わせて一つの運動体として圧力に抗うデモ隊とでは目的も力の向かう先も全く違うのだが、「未知の情動」という言葉を付与されてみると、意外に重なり合うものがある。

◆コロナ禍の現在なら、さしずめ、間合いを取りながらレジに並ぶ人々の行列ということになる。

「自粛」お願いが「責任は自分で」と取り付く島がない感じを伴う。「新しい生活様式」と言いくるめた生き方指南が内面への介入・支配と背中合わせであることも人々はすでに感じ取っている。

協力的でない者を探し出し警告(時に脅迫)する「自粛警察」という形容矛盾の言葉も生まれているが、「強いられた自粛」はいずれ、個であれ集団としてであれ、「陰圧」を維持し続けるように要請されることが抑圧となり、いつの日か逆向きに暴発を引き起こすのではないか、と思われて不気味だ。



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