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木の詩ふたつ[2020年05月08日(Fri)]

DSCN9878.JPG

ケヤキの幹。圧倒される。だが、目をこらさずにいられない。
近づこうとして畏れの感情に打たれて自ずから足が止まることもあれば、手を触れ身を預けてしばらくその姿勢でいようと思える時もある。
どのようにしようとすべて受け容れてくれる果てしなさが、紛うことないほど確かに地に立つ樹にはある。

*******

◆長田弘の良く知られた詩――


おおきな木   長田弘


 おおきな木をみると、立ちどまりたくなる。芽ぶきのころのおおきな木の下が、きみは好きだ。目をあげると、日の光りが淡い葉の一枚一枚にとびちってひろがって、やがて雫(しずく)のようにしたたってくるようにおもえる。夏には、おおきな木はおおきな影をつくる。影のなかにはいってみあげると、周囲がふいに、カーンと静まりかえるような気配にとらえられる。
 おおきな木の冬もいい。頬(ほお)は冷たいが、空気は澄んでいる。黙って、みあげる。黒く細い木々が、懸命になって、空を摑(つか)もうとしている。けれども、灰色の空は、ゆっくりと旋(めぐ)るようにうごいている。冷たい風がくるくると、こころのへりをまわって、駆けだしてゆく。おおきな木の下に、何があるだろう。何もないのだ。何もないけれど、木のおおきさとおなじだけの沈黙がある。
 


  『長田弘詩集』(ハルキ文庫、2003年)より。

◆大きな木の下に何があるだろう、と問うわたしは、問いへの答えを自分の言葉で見出す。
ここでの「沈黙」は、無にして同時に一切であるような世界だ。
漢文にいう「無可有の郷」(『荘子』逍遙遊)に招じ入れられたような。


◆木の芽生えから成長、さらに幾星霜もの時間の経めぐりを、数呼吸で(ただしはるかな空から降り注ぐものを深々と呼吸することによって)表した次のような詩もある。


地球に 種子が落ちること   岸田衿子

地球に 種子が落ちること
木の実がうれること
おちばがつもること
これも 空のできごとです


 水内喜久雄・選『岸田衿子詩集 たいせつな一日』(理論社、2005年)より



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