〈心にはたくさんのドアが――〉E.ディキンソン[2018年12月22日(Sat)]
バルーン・アートによるサンタクロース。
湘南台駅地下コンコースにあるイルミネーションのステージに置かれていた。
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心にはたくさんのドアがあります――
エミリー・ディキンソン
心にはたくさんのドアがあります――
わたしにできるのはノックだけ――
「お入り」とやさしくいってもらえないかと
懸命に耳をすませて――
拒絶にあっても悲しみはいたしません、
わたしには糧(かて)なのです
どこかに、至高の方の、
いらっしゃることが――
原題'The Heart has many Doors――'(1883年頃)
*亀井俊介・編「対訳 ディキンソン詩集」(岩波文庫、1998年)によった
◆「心」は「至高の方」(Supremacy)の心か、あるいはこの世界を越えた「もう一つの世界」の心か、いずれにせよ〈なにか偉大なる者の心、であろう〉――と編者は注記しているが、それは「我が心」であっても全く差し支えあるまい。内心の声に耳傾けようとする者はすでに自身が己を超えた者に真っ直ぐにつながっていることを知っているのだから。
ドアが開いた時にそれは確信に変わるが、たといドアが開かぬままだったとしても、その人は祈り求めることをやめないであろうから。