こんにちは。
茨城県筑西(ちくせい)保健所所属の服部です。
筑西保健所は日本百名山の一つである筑波山のふもとにあります。保健所から筑波山をきれいに眺めることができ、毎日癒されながらお仕事ができています。
今回は、管内の感染症指定医療機関と合同で行った新興感染症患者の移送訓練についてご紹介します。
保健所は感染症法第21条及び第47条に基づき、患者の移送を行う必要があります。新型コロナウイルス感染症の際にも感染者が発生すると、保健所職員が患者を病院へ移送していました。
今年度から管内にある医療機関が第二種感染症指定医療機関に指定され、医療機関側から、患者発生の一報を受けた場合の患者の受け渡しから院内への搬送する流れを確認したいとご相談があり、保健所と医療機関で合同の移送訓練を行うことになりました。
当日のシナリオは、新興感染症が海外で流行し始め、日本でも都市部を中心に患者が増加し、ついに管内にも感染者が発生したという想定の下、保健所職員が患者発生の第一報を管内の診療所より受け、感染症指定医療機関に患者を移送するという流れでした。
訓練前日に移送車を保有している保健所に赴き、移送車の操作のレクチャーを受けました。当日は、まずは所内にてアイソレーター(患者搬送用の密閉式カプセル)の組み立てを実施しました。実際にアイソレーターの中に職員に入ってもらったところ、アイソレーター内では体が固定され、内部が密閉空間になるためパニックになる可能性があるとの感想がありました。患者さんに対して不安を軽減させるために適切な声かけや説明を行う必要があることを実感しました。その後所内では、患者発生の一報を管内の診療所から受けた後の本庁疾病対策課、衛生研究所など関係機関との連絡訓練を行いました。

医療機関では、病院職員に対してタイベックススーツの着脱訓練を行っていました。声が聞きとりにくいのでホワイトボードを使う等の会話の工夫が必要、タイベックススーツには職種だけでなく名前もあったほうがよい等の実際に体験してみての意見が聞かれました。
所内訓練を終えたところで、保健所から実際に移送車を走らせ、医療機関での患者を受け渡し訓練を行いました。医療機関内では、患者の検査等を実施し、感染症病棟へ運ぶまでの流れも確認しました。天気はあいにくの雨でしたので患者役の方は大変でしたが、雨の場合の動線の確認なども行うことができました。

最後の振り返りでは、外部と院内の電話連絡の方法の煩雑さが表面化し、机上では気づきにくいところの意見交換が活発に出きたので、実践訓練の必要性を実感することができました。「備えよ常に」の精神で訓練や顔のみえる関係づくりを日頃より行っていきたいと思いました。
posted by 公衆衛生医師の確保と育成に関する事業班 at 12:00
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