2025年の今年もあと少しで終わろうとしていますが、このブログをご覧のみなさんにとって2025年はどんな1年でしたでしょうか。国内でも様々な出来事があった中で、大阪で万博が開催されたことも今年の大きな出来事の1つだったのではないでしょうか。
2025年日本国際博覧会(大阪関西万博・EXPO2025)は、大阪市此花区の夢洲地区で、4月13日から10月13日の約半年間にわたって、「いのち輝く未来社会のデザイン(Designing Future Society for Our Lives)」をテーマに開催されました。
会場では、158の国と地域、7つの国際機関、13の国内民間企業・団体がパビリオンを出展し、一般入場者数は約2,558万人(総入場者数約2,902万人)と、大阪府内や関西地方をはじめ、日本全国からだけではなく世界中からも多くの来場者があり、とても盛り上がったイベントとなりました。
このように、日本全国や世界中から多くの人が集まる「マスギャザリングイベント」と呼ばれるイベントが開催されるときには、群衆事故やテロ事件などにより多数の傷病者が発生する事件・事故の発生とともに、様々な感染症の集団発生・アウトブレイクの発生が懸念されるため、関係者・関係機関はそれぞれの発生予防対策や、発生時に備えた対策を進めています。
これまでにも全国的には、G7,G20サミットや、ラグビーワールドカップ2019、2020東京オリンピック・パラリンピックなど、大規模な国際的イベントが国内で開催された際には毎回感染症対策の強化が行われており、今回の大阪関西万博でも開催の2〜3年前から準備を進めてきました。
今回は万博会場の夢洲がある大阪市と大阪府、さらに大阪府と大阪市の地方衛生研究所である大阪健康安全基盤研究所と国立感染症研究所が合同で「大阪関西万博感染症情報解析センター」を設置し、開会の約3か月前に当たる1月から、閉会の約1か月後に当たる11月まで、各種の感染症サーベイランスを実施してきました。
具体的には、通常の感染症発生動向調査に加えて複数の情報源から幅広く感染症の発生やその兆候を探知し、総合的に感染症の発生及び拡大リスクを評価することが重要であるとの観点から、「万博関連サーベイランス」として、万博関係者や来場者から感染症患者が発生した場合、万博会場が感染機会と考えられる事例や感染可能期間に会場内の行動歴がある事例について積極的に情報収集したり、「会場内サーベイランス」として、万博の関係従事者の日々の健康管理情報や、会場内診療所で診察した症例の情報を集積把握するなど、複数の情報源で強化サーベイランスを実施しました。
今回の大阪関西万博については、報道等にもあったように万博の来場者で麻疹の発生がありましたが、大規模な集団感染には至りませんでした。また、会場内の人工池などからレジオネラ属菌が検出されたために一時水上ショーが中止されましたが、必要な対策が取られた上で水上ショーは再開され、また万博会場が感染源と断定できたレジオネラ症例はありませんでした。
このように、国内で大規模な国際的イベントなどが開催される際には、厚生労働省や国立感染症研究所、都道府県市、保健所、地方衛生研究所などの関係者・関係機関が一体となって感染症対策に当たっていることは、世間一般にはあまり知られていないと思いますが、私たちのように公衆衛生分野で働くみなさんが、縁の下の力持ちとして国民の安全・安心を守る一翼を担っていることを知っていただけると嬉しく思います。
ところでみなさんは大阪関西万博に来場されましたか?また来場された方は何回会場に行かれましたか?この記事を書いている私は合計7回(うち1回は1日で昼と夜の2回入場)会場へ行きましたが、あれだけ暑い中で長時間行列させられたにも関わらず、とても楽しかった思い出しか残っていないような気がします(笑)。
2025年の年末を迎えている現在の大阪の街中では、開催期間中にはたくさんあった万博関連の装飾や広告もほとんどなくなってしまい、万博が終わってまだ1か月半しか経っていないのに2〜3年も経ったような気がしています。いくつかのトラブルはあったものの、大きな事故や事件、感染症の発生などの大きなトラブルもなく無事閉会したことは本当によかったと思います。
今回の万博強化サーベイランスについては、過去に国内で開催された大規模な国際的イベントで行われた強化サーベイランスの経験などを元に実施されましたが、今回の経験についても今後様々な検証が進められるとともに、今後国内で開催される大規模な国際的イベントなどの際に実施される強化サーベイランスに活かされていくものと考えられ、ひいてはわが国の感染症対策の充実強化が進められるものと期待しています。
(大阪府岸和田保健所 宮園将哉)