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このブログでは、保健所や都道府県庁になどに勤務する現役の公衆衛生医師が、主に公衆衛生の分野に興味をお持ちの医師や医学生のみなさまや、転職・転科を考えていらっしゃる医師のみなさま、社会医学系専攻医・若手公衆衛生医師のみなさまに対して、公衆衛生・行政医師の業務や関連イベント等を紹介しています。なお、本ブログの記事に関するお問い合わせ、公衆衛生医師への入職・転職に関するご相談はこちらのフォームから受け付けております。
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原子力防災(北海道庁保健福祉部(前・北海道岩内保健所長)村松 司)[2022年10月01日(Sat)]
 健康危機管理の中で、最近とりわけ注目されてきているのが、CBRNE災害と呼ばれる大規模かつ大きな災害です。
 CBRNEとは、Chemical(化学)、Biological(生物)、Radiological(放射性物質)、Nuclear(核)、Explosive(爆発物)の頭文字をまとめたもので、いずれも広範囲に甚大な被害をもたらすものです。

 私は本年3月まで、倶知安保健所との兼務ではありましたが、泊原子力発電所の立地する岩内保健所の所長をしておりました。
 岩内保健所の所長は、あまり考えたくない事態ではありますが、原子力発電所において万一の過酷事故が発生した際、泊原発から距離にして10kmほど離れた共和町にある「北海道原子力防災センター」に詰めて、国の現地対策本部の医療班の副班長(班長は国から派遣される)として、現地の負傷者等の医療調整を、近隣の医療機関や場合によっては大学病院などとも連携して行います。また、現地住民への安定ヨウ素剤の内服指示の伝達なども重要な任務です。

原子力防災センター.png

 北海道では毎年秋頃に、このような原発の過酷事故を想定して、現地住民にもご協力いただいての大規模な避難訓練を伴う、「原子力防災訓練」を行っています。昨年度は私も岩内保健所長として参加し、実際に防災センターに詰めて危機管理のオペレーションに参加しました(本当は写真などがあると良いのですが、保安上の理由から内部の撮影は厳禁なのです)。残念ながらコロナ禍のために住民参加の避難訓練は中止となりましたが、国や原発立地周辺町村などとも協力して、実際の危機管理のオペレーションを動かすことで様々な課題が抽出でき、実りの多い訓練であったと思います。

IMG_0980.JPG

 今はコロナ禍で保健所の健康危機管理が注目されていますが、健康危機は感染症だけではなく、こういった災害も想定して、訓練などを通して常に「起こってはならないが、起こったらどうする」を頭に描いておく必要があります。それが平時からの危機管理です。

 それもまた、保健所長の大切なお仕事です。

(北海道庁保健福祉部地域医療課・地域保健課・感染症対策課(前・北海道岩内保健所長) 村松 司)
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Posted by 公衆衛生医師確保育成事業班 at 00:33 | 業務紹介 | この記事のURL | トラックバック(0)
適塩ランチ(山形県最上保健所長 鈴木 恵美子)[2022年05月28日(Sat)]

 このランチ、塩分・カロリーどのくらいだと思いますか?
  
適塩ランチR4-1 メイン斜め.jpg適塩ランチR4-1 メイン.jpg

 わたしたち最上(もがみ)保健所では、健康増進事業の一つとして、食堂で定期的に「適塩ランチ」を提供しています。職員だけでなく、事前に広報して地域住民の皆さんにも召し上がっていただいています。

 食材や調味料、調理方法の工夫で、食塩相当量2.5gに抑え「食塩控えめでもおいしくいただけるランチ」をコンセプトに、無理なく減塩ができるランチとなっています。

適塩ランチR4-1 チラシ.png
 適塩ランチは食塩以外にも
  @カロリーを650Kcal程度(ごはん100gの場合)
  A野菜120g以上使用(今回は150g以上あります。)
  B果物つき
 の基準を設定し、栄養バランスにも配慮しています。

 今回のキーマカレーでは、ひき肉は今流行りの大豆ミートで代替しトマトのうまみで塩分を調節しています。また、ポテトサラダには、マヨネーズを一切使っていませんがまったく差がないおいしさでした(秘密はレシピをご覧ください!)。PDFダウンロードはここから

 レシピはこちらからダウンロードしてください(PDF)

 東北は山形県の北端に位置する最上地方では、北国の山間部特有の食事情から、塩分の過剰摂取とそれに由来する生活習慣病が長年の大きな健康課題でした。

 山形県全体での数値ですが、昭和53年(1978年)の食塩の平均摂取量はなんと20.3g。
約40年後の平成28年(2016年)は10.0gと約半分に減少はしたものの、全国平均9.6gおよび目標値(男性7.5g未満、女性6.5g未満)まではまだまだ遠い道のりです。

 保健所のしごとの一つとして、こうした生活習慣病予防のための栄養指導を、市町村と協力して行っていくものがあり、管理栄養士・保健師が主役として活躍します。公衆衛生医師はもっぱら試食担当(´∀` )です・・・もちろん助言もしますよ!

 ところが、「減塩は美味しくない!」と、ご高齢の住民の方々からはなかなか指導を受け入れてもらえず、とても苦労してきたのだそうです。そんな管理栄養士さんたちの経験からの発案で始まった適塩ランチは、とても好評で、昨年度の事業ではレシピ集や調理のコツをまとめたカレンダー(2022年)を作成し管内の様々な施設、事業所へお配りしました。

 山形県のホームページからもダウンロードできます。2022年もまだ半年残っていますので、ぜひ興味のある方は使ってみてくださいね。

 また、本事業はこのたび日本公衆衛生協会より第54回衛生教育奨励賞をいただきました。保健所で働く仲間にとっても、とても励みになります。

適塩ランチ カレンダー見本.jpg

 カレンダーのダウンロードはこちら
(右サムネイルからでもダウンロードできます)

 最上保健所「すこやかもがみネットワーク事業」ポータルサイトはこちらhttps://www.pref.yamagata.jp/314025/kenfuku/kenko/kenko/sukoyakamogami/sukoyakamogami_home.html

 レシピを見ても、忙しかったり料理が得意でなかったり、自分はちょっと・・・というあなたも大丈夫。お醤油をお酢やレモン汁に替えてみるということを習慣づけるだけでも、将来のリスクが減らせるかもしれません。地域住民の健康を守るにはまずは自分自身の体をいたわってみる、そんなきっかけになってくれればうれしいです。

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Posted by 公衆衛生医師確保育成事業班 at 22:00 | 業務紹介 | この記事のURL | トラックバック(0)
医学生向けの講義をしてきました(大阪府健康医療部保健医療室 宮園将哉)[2022年05月16日(Mon)]
先日は関西医科大学の1年生の地域枠学生のみなさんを対象に、地域医療セミナーとして地域医療に関する講義をしてきました。これまでもいくつかの大学で毎年講義をさせていただいていますが、ここ数年はコロナ禍の影響でオンラインでの講義を依頼されることもあり、教員の先生方の日々のご苦労を体感させていただいていました。


関西医大については、感染拡大の時期を避けて講義の時期を設定されるなど、他の大学に比べてもかなり工夫をされて毎年対面授業の機会を確保していただいていましたが、やはりオンラインに比べると対面では学生さんのリアルな反応を見ながら講義ができるので内容にも緩急をつけやすく、対面授業のほうがいいなと感じてしまうのは私自身がすでに若くないからかも知れません。

関西医大では、大阪府の地域枠だけではなく、静岡県や新潟県の地域枠や大学特別枠の学生さんに対して毎年このようなセミナーを開催されていますので、彼らがこれからの学生生活の中で単に医学の勉強をするだけではなく、このような機会を通じて地域での医療の現状について理解を深め、将来の進路を考えたりや医師としての心構えを身につける参考にしてほしいと思います。


私の場合、この大学以外にも関西のいくつかの大学で非常勤として講義なども担当させていただいていますが、他府県においても各大学医学部では地元の保健所長などの公衆衛生医師を非常勤講師に招いて、社会医学や公衆衛生分野の中で地域保健や保健医療行政に関する講義などの取り組みが行われています。

また、コロナ禍のために最近2年ほどは中止されていることもあるようですが、社会医学や公衆衛生学の実習として、実際に保健所へ行って実習を行ったり、インターンシップとして都道府県庁などで業務体験を行っている大学もあると聞いており、大阪府でもいくつかの大学から毎年のように学生実習を受け入れています。

多くの医学生さんは、学生時代の私のように社会医学や公衆衛生学に全く興味がない方がほとんどだと思いますが、たまたま聴いた私の講義が何かのきっかけになって、将来私たちと一緒に仕事をしてくれる公衆衛生・行政医師が1人でも増えるといいなと思っています。

(大阪府健康医療部保健医療室 宮園将哉)
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公衆衛生医師の非日常 〜2022年4月に着任された方のために〜(東京都 関なおみ 先生ご寄稿)[2022年03月23日(Wed)]
東京都の特別区保健所で公衆衛生医師として激務をこなす傍ら、現場からの目線で書籍をいくつも執筆されている、関 なおみ 先生より、特別にご寄稿をいただきましたので、公開させていただきます。

文章自体は題名の通り新任(となるであろう)公衆衛生医師向けに書かれていますが、これから公衆衛生医師を志す学生や若手医師、そして我々現役の公衆衛生医師にとっても「刺さる」名文です。

関先生、ご寄稿いただき、まことにありがとうございます!

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公衆衛生医師の非日常
〜2022年4月に着任された方のために〜


はじめに


今年度から新しく公衆衛生医師になられた方へ。ようこそいらっしゃいました。一緒に働くことが出来るのを嬉しく思います。


今回あなたが配属されたところが保健所であっても、都道府県の保健衛生部署であっても、これからしばらくの間経験するのは、「日常」ではなく、「非日常」の日々であると認識しておいていただくと、仕事を理解しやすいかと思います。


というのは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が発生して以来、感染症対策が保健所業務の中心となるという、異常な状況が生じているからです。


東京都特別区の場合、これまでの公衆衛生医師の日常は、どちらかというと母子保健や精神保健、健康づくりといった予防医学を中心として構成されており、各種健診・検査業務、健康教育、事例検討や調整会議、感染症診査協議会などの定型業務をつつがなく行い、年間計画に基づいた研修会・普及啓発イベント・訓練等をこなすことが主な業務でした。


これに加えて管理職は、年中行事として他部署の主催する会議への出席や議会対応、国や都道府県の説明会や会議があります。


その合間に住民や医療機関からの相談や苦情に対応し、必要に応じて保健師等と訪問し、各種学生実習を受け入れ、食中毒や集団感染事例が発生すれば生活衛生課等と一緒に動き、地域診断を行い、新規事業の導入を検討する、といったところでしょうか。保健所は地域の関係団体と連携し、住民の健康を守っていく立場にありました。


20201月にCOVID-19が国内発生して以降、保健所の電話は鳴り止まなくなり、発生届のFAXが溢れ、国の事務連絡が次々と届くメールボックスは常に容量制限を超えていて、突然招集される臨時の会議や説明会が乱発され、議会やマスコミからの問い合わせが増え続け、日常業務ができなくなりました。


集団健診は縮小され、対面での講演会、研修会や会議が次々とオンラインに変わり、講堂や会議室は応援職員用の事務室になりました。


健康づくりよりも危機管理が優先され、医師や保健師だけでなく、事務職もCOVID-19に関わる仕事ばかりするようになり、多数の庁内応援職員や人材派遣職員が事務室内に溢れるようになりました。


すでに2年以上このような状況が続いているものの、戦後日本の保健所の歴史からすれば、これは明らかに「非日常」です。



今、現在進行形で経験していることとは



現在公衆衛生医師の私達が直面している現実は、今世紀最大規模の新興感染症の流行で


2019年末、世界の片隅で新たなウイルスによる感染症が発生しました。


このウイルスは人の移動によって瞬く間に全世界に拡大し、人々が密集するような場やイベントを通じて大規模な集団感染を形成しながら、陽性者を増やし続けました。徐々にウイルスの性質や感染経路は明らかになり、PCRによる検査方法が確立し、全世界で陽性者数の全数把握が始まりました。


治療方法やワクチンがない状況において、多くの国で死者が発生しました。日本においても陽性者が増え続ける中、受け入れ病床はあっという間に足りなくなり、入院隔離だけでなく、自宅療養、宿泊療養といった概念が誕生し、即座に運用が開始されました。


また、発生届の電子化、入院調整本部の設置、医療機関や患者本人による健康観察や濃厚接触者の同定など、これまで手が付けられていなかった公衆衛生対策も進みました。


ウイルスは変異を重ね、何度も波となって襲ってくる中、三密回避(新しい生活様式)、手指消毒・マスク着用(ユニバーサルマスキング)、クラスター対策(封じ込め、前向き調査)、緊急事態宣言(外出制限、ロックダウン)、まん延防止措置、接触通知アプリ等、各国で様々な対策が生み出され、ウイルスの広がりを阻止することにチャレンジしました。mRNAワクチンが開発され、100%を目指した住民接種が実施される中、点滴による治療薬が開発され、経口薬も承認されました。


現時点において都内では、ウイルスの病原性に基づき、健康観察が50歳以上や基礎疾患を有する者に限定され、宿泊療養や自宅療養に係る食料・パルスオキシメーターの配送といった調整が、保健所業務から切り離されるところまで効率化が進んでいます


つまり私達は現在、新興感染症の発生が確認され、新たな感染症の一つとして認知され、人に重篤な影響を及ぼす感染症として対応せざるを得なくなり、法改正が行われ、サーベイランスや公衆衛生対策、医療体制の仕組みが組み立てられ、定着していく過程そのものを、日々ウイルスの増減と共に体感しているという、非常に稀な状況をリアルタイムで経験しているのです。


COVID-19発生から202110月までの経緯については、詳しくは拙著 保健所のコロナ戦記TOKYO2020-2021』を参照ください)



歴史に足跡を残す者として


患者数の多い感染症の全数把握を続けることは非常に大きな労力である一方、集積されたデータや検体のゲノム解析により、季節性インフルエンザ等では憶測に過ぎなかった日本社会におけるウイルスの伝播について、どこからやってきてどのように流行を形成するのかが、ある程度解明されたことは非常に画期的だと思われます。


また、住民接種において100%の予防接種率を目指すためにはどのような体制とシステムが必要であり、どのような広報戦略やリスクコミュニケーションが必要かも、段々分かってきました。


流行の波を繰り返す毎に検証を重ねつつ、このような新たな知見を集積し、今後の感染症対策に活かすことができる制度の設計や、現場レベルでの定着に向けた体制整備等については、まだまだ途中の段階です。


1947年にGHQにより「新しい保健所」が日本に誕生した瞬間を経験した人は、もはや現場に残っていません。保健所という行政組織が、内務省管轄の住民の監視役から、各種専門職による科学的知見を備えた健康づくりの拠点へと生まれ変わった瞬間として、「モデル保健所」の落成式は歴史的な瞬間であったことでしょう。


それまでの日常業務が廃止され、非日常となり、新たに配置された多くの専門職による新規事業が開始され、その後それらが現場に定着し、日常業務になるまでには、様々な試行錯誤があったに違いありません。


非日常を体感した職員の創意工夫により、制度として脈々と受け継がれ、私達はその功績により、恩恵を預かっています。


いつの日か、「臨時対応」が「定型業務」となり、この「非日常」が新たな「日常」になった時に、COVID-19との闘いはいったん終結することでしょう。それまでの道のりを闘っていくのは、今、ここにいる、皆さんをむ、私しかいません。


だからこそ、今ここにある先の見えない状況においても、どうか皆さんは、ご自身が歴史に足跡を残す者であり、未来の新しい「日常」を作る者なのだという気概を持ち、目の前にある業務に取り組んでいただけたらと思います。


人々の健康が守られ、ともに幸せに暮らしてゆくために、保健所はあります。みなさんが、これまで培ってきた医学の知識と経験を活かしながら、末永く、この「公衆衛生」という分野の仕事に取り組んでいただければと、心より願っております。


東京都 特別区保健所 保健予防課長 関なおみ



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関先生のご著書については、下記サムネイルをクリックいただくと詳細がごらんになれます。

とても読みやすく、コロナ第5波以前の東京都の状況が、その場にいたかのように臨場感をもって伝わってくる、公衆衛生や感染症防疫に興味のある方必読の一冊です。

是非、書店・電子書籍サイトでお求めの上、ご一読ください!

 コロナ戦記.png



(紹介文担当:北海道保健福祉部地域医療課・地域保健課・感染症対策課 村松 司)

Posted by 公衆衛生医師確保育成事業班 at 16:00 | 業務紹介 | この記事のURL | トラックバック(0)
大阪府で行政医師・歯科医師の新たな人材育成プログラムを策定しました[2021年10月04日(Mon)]
大阪府では、これまでも若手の行政医師・歯科医師に対して、各々が配属された保健所や本庁などの各所属において、職場での実践を通じて業務知識を身につける育成手法(OJT)と各種研修を組み合わせながら、人材育成を進めてきました。しかし、近年、健康医療行政をめぐる環境が大きく変化し、業務が多様化している中で、行政医師・歯科医師はこれまで以上に高い専門性が求められるようになってきています。

そこで、行政医師・歯科医師職員独自の取り組みとして、令和3年度から社会医学系分野の基本領域である社会医学系専門医の制度が目指す「多様な集団、環境、社会システムにアプローチする」という専門性に加え、行政医師・歯科医師が持つべき「研究推進と成果の還元能力、倫理的行動能力等」という専門性をさらに追加した、新たな人材育成プログラムを立ち上げました。
・社会医学系専門医の研修プログラムで獲得を目指す能力(コンピテンシー)に加え、大阪府で独自に定めた行政医師・歯科医師が持つべき専門性(コンピテンシー)を新たに追加。
・社会医学系専門医の研修プログラムで獲得を目指す能力(コンピテンシー)に階層と優先順位をつけ、早期に獲得すべき能力を優先できるように人材育成を進める。
・行政医師・歯科医師の間で、他の保健所等他所属の先輩から指導を受けたり、若手から先輩に対して相談ができる体制を確保。

大阪府では、大阪大学の社会医学系専門医研修プログラムに研修連携施設として登録されており、専門医取得を希望する方は、大阪大学プログラムを通じて専攻医になることができます。これらを含め、社会医学系専門医研修プログラムに基づく研修や各種研修と組み合わせながら、行政医師・歯科医師が持つべき専門性の効率的・効果的な獲得を目指しています。
*(参考)大阪大学社会医学系専門医研修プログラム

今後入庁される行政医師・歯科医師職員のみなさんが、その専門性や能力を効果的・効率的に獲得し、公衆衛生活動の実践力と質を向上させ、府民の健康や医療体制の改善に貢献できるキャリアを形成してもらえるよう、私たち先輩医師たちも若手医師・歯科医師のみなさんを積極的にサポートしていきたいと考えています。

(大阪府健康医療部保健医療室 宮園将哉)
Posted by 公衆衛生医師確保育成事業班 at 14:00 | 業務紹介 | この記事のURL | トラックバック(0)
島根X鳥取 公衆衛生医師が振り返るクラスター対応[2021年05月20日(Thu)]
鳥取と島根、山陰の両県を守っている公衆衛生医師へのインタビュー記事です。
公衆衛生医師の戦いの一端が語られています。

Posted by 公衆衛生医師確保育成事業班 at 23:25 | 業務紹介 | この記事のURL | トラックバック(0)
公衆衛生医師の業務を紹介するパンフレットができました![2021年01月29日(Fri)]
公衆衛生医師の仕事とは? 保健所の仕事とは?
興味はあるけど、実際の保健所にアクセスするには?

そんな疑問をお持ちの方のために、
公衆衛生医師の業務を紹介するパンフレットを当事業班で作成しました。

パラパラと開いて興味のあるところだけをご覧いただくこともできるようになっています。

ぜひ、ご一読ください。

2020_panf.jpg
Posted by 公衆衛生医師確保育成事業班 at 06:00 | 業務紹介 | この記事のURL | トラックバック(0)
地域医療と公衆衛生行政(北海道渡島保健所長(兼)八雲保健所長 山本 長史)[2020年07月23日(Thu)]
 北海道職員となり30年過ぎました。この間色々な職場を経験しましたが、その時代そして勤務する地域で取り組まなければならない懸案事項は様々でした。現在勤務している地域は兼務先も含めて、公立の医療機関が多い地域で、医師不足や医師の高齢化などの課題がありますし、病院赤字の問題もあります。また、今後人口減少が進むことが予想されるため、地域医療構想の推進が大きな課題となっています。

 地域の急性期医療を担っているのも公立病院なので、医育大学から医師を派遣してもらうためには、これまで以上に魅力的な医療機関になる必要があると考えています。さらに地域で医療を完結するためには、急性期から回復期、慢性期、在宅へという流れを関係者と協議しながら構築しなければなりません。

 病院の再編については地域医療介護総合確保基金の対象になるので、市町村にとり一番有利な方法を保健所として検討するとともに、本庁と協議して提案する必要があります。さらに構想の推進にあたっては、公立病院ですので、病院長の考えだけでなく、首長たちの考えも重要ですので、地域で意見交換会や会議などを開催して推進しなくてはなりません。
医療機関の赤字については、公立病院には国から交付税が支給されますので、交付税については、道庁の地方の出先機関である振興局の担当部署とも連携して進める必要があります。

 このように、公衆衛生医師には、医師としての専門性だけではなく、行政スキルも身に付け、業務に取り組むことが必要であり、このことにより個への働きかけに止まらず、面への展開がしやすくなると思っています。また、これまでの経験から、医療の世界と行政の世界は通用するルールが違うのではないかと思っていて、公衆衛生医師は医療の世界も行政の世界も知っているというハイブリッドな機能を生かして取り組むことが出来る世界だと思っています。

 時代と地域にマッチした課題に取り組めるという公衆衛生の世界で働いてみませんか。
Posted by 公衆衛生医師確保育成事業班 at 11:00 | 業務紹介 | この記事のURL
地方行政医師のキャリアパスの一例「県庁から中核市へ出向」(宮崎市保健所長 西田 敏秀) [2020年07月08日(Wed)]
公衆衛生医師となったきっかけ
 私は、学生時代に衛生学の教授と親しかったこともあり、環境保健分野のセミナーや実習に参加していました。循環型社会の実現や環境保全といった内容でしたが、生活習慣の見直しや健康維持にもつながる興味深い内容であったと記憶しています。そのほかにも、公衆衛生学の講義で医系技官の先生の話に興味をもったり、保健センターでの実習で家庭訪問をしたりといった経験をしていました。
 卒業後の臨床研修では保健所実習の経験はありませんでしたが、病院で放射線科医として仕事をしていく中で、医療費の問題など社会医学への興味は常々もっていました。

宮崎県へ入庁
 もともと、私は幼少時から中学までを宮崎市で過ごしており、親も宮崎に残っていました。老後の心配等もあったため、縁あって宮崎県に入職しました。
 保健所に勤務して最初の仕事は感染症担当でした。当時、管内で百日咳の集団感染が起こっており、国立感染症研究所の実地疫学専門家養成コース(FETP)の先生方と一緒に仕事をさせていただくなど貴重な体験をさせていただきました。
 その後も、入庁以来数年、感染症関係の仕事をメインにしていたこともあり、結核病学会認定医やICDを取得し、所長になった今でも、大学院のICN養成コースで講義をするなど、感染症に関わる仕事を継続しています。

人とのつながりを大切に
 宮崎県の公衆衛生医師の養成システムは、入庁後数年間で数々の研修に出してもらえるようになっています。国立保健医療科学院の3か月の長期研修にも出させていただき、全国から集まった同志とともに学ぶ機会を得たことは、職場に同世代の医師がいない私にとって、心強いものでした。いまも学会や全国保健所長会、研究班活動等の中でつながりをもち続けています。
 また、3年前より、県職員でありながら、中核市の所長を任される立場となり、市町村業務を経験できる機会を得ています。県と市の立場の違いを理解しつつ、県市間での架け橋となれるよう日々心掛けています。

公衆衛生の魅力
 医療だけでなく、他の業種の方々とも関わる機会が多く、いろいろな方々とつながりをもてることが、公衆衛生の魅力でもあると思います。一人ひとりの力は小さいけれども、みんなで協力することで大きな力となることを、さまざまな事例を通して感じています。また、社会の動きとともに日々いろいろな事例があり、改めて公衆衛生のフィールドの大きさを認識させられています。住民の生活、生命、生きる権利を「衛(まも)る」、公衆衛生医師として、今後も精進していきたいと思います。

図1.jpg
(地元ショッピングモールでの啓発活動 結核予防と骨髄バンク)


筆者プロフィール

平成19年 熊本大学医学部医学科 卒
その後、平成22年まで熊本県内で卒後臨床研修、放射線科臨床に従事
平成23年 宮崎県庁入庁、延岡保健所 技師
平成26年 宮崎県庁健康増進課 主査
平成27年 小林保健所 主幹
平成28年 延岡保健所 主幹
平成29年 宮崎市保健所 所長(現職)

資格・専門医 等

社会医学系専門医・指導医
日本結核・非結核性抗酸菌症学会 結核・抗酸菌症認定医
ICD
日本医師会認定産業医
宮崎大学 非常勤講師
Posted by 公衆衛生医師確保育成事業班 at 12:10 | 業務紹介 | この記事のURL | トラックバック(0)
災害時の公衆衛生活動(長崎県 県央保健所長(兼)上五島保健所長 宗 陽子)[2020年06月27日(Sat)]
 地震や台風、豪雨災害などの大規模災害が発生した場合には、人々の健康を脅かす様々な事態が生じるため、保健所は地域における健康危機管理の拠点として災害時公衆衛生活動を行います。


 災害時公衆衛生活動は、防ぎえた死と二次的な健康被害を最小化することを活動理念として、3つ対策を柱として行われます。


 一つ目は、医療救護(救急)体制の構築です。発災直後の急性期には、負傷者の救急医療体制の確保が必要であり、亜急性期には、慢性疾患への対応や避難所での医療が必要となり、さらには、できるだけすみやかに地域医療が回復するように体制整備を行うことが必要になります。


 二つ目は、保健予防活動です。感染症やDVT対策、メンタルヘルス対策など、避難所生活における集団としての健康リスクをモニタリングし、また、在宅避難者を含めて持病・障害の悪化による新たな健康問題の発生を予防する必要があります。


 三つ目は、生活環境衛生対策です。食中毒予防、廃棄物や汚物の処理など、集団生活を行う上での生活環境を整え、健康リスクを軽減します。


 これらの活動は、地域保健法に基づく平時の保健所業務と重なります。医療提供体制の整備や、感染症対策、母子保健対策、精神保健対策、生活環境衛生対策など、普段行っている公衆衛生活動が災害時にもすべて必要で、情報を収集し、課題を抽出し、課題に対する対応策を検討し実施するという公衆衛生活動の基本は同じなのです。


 さらに、公衆衛生行政には、保健医療活動チーム(DMATやJMAT、全国からの応援保健師チームなど)の派遣調整、保健医療活動に関する情報の連携、整理分析等、保健医療活動の総合調整といったマネジメント機能が求められています。平成30年3月に、専門的な研修・訓練を受けた保健所等の職員による「災害時健康危機管理支援チーム(以下、DHEAT)」が発足し、平成30年7月豪雨災害において、岡山県、広島県、愛媛県に、全国から合わせて7チーム、28班のDHEATが派遣されました。私も長崎県チームとして、岡山県倉敷市に派遣され、保健医療活動チームの登録と避難所への配置、避難所情報の収集、整理・分析、共有、そこから挙げられる課題(熱中症、DVT、感染症、生活不活発病、口腔ケア、結膜炎・皮膚炎等)を専門職チームに繋ぐためのハブ機能を担いました。


 近年日本では自然災害が多発しており、災害時の公衆衛生活動の重要性が高まっています。様々な職種による活動の指揮調整においては困難を伴うこともありますが、公衆衛生活動の基本に立ち戻りながら行う、大変やりがいのある活動です。


編者より:朝日新聞サイトに派遣時の記事が掲載されていますので、よろしければそちらも御覧ください

Posted by 公衆衛生医師確保育成事業班 at 23:20 | 業務紹介 | この記事のURL
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