2026年03月27日
医学生インターン実習を行いました(大阪府岸和田保健所 宮園将哉)
2026年02月27日
都市部での健康づくり(名古屋市中保健センター宇野春日)
名古屋市中保健センターの宇野です。初期研修終了後すぐに行政の世界に入り、令和7年で医師7年目、入庁5年目になりました。公衆衛生医師の業務内容は自治体や配属部署により様々ですが、この記事では、私がいま取り組んでいるオフィス街や繫華街での健康づくりをご紹介します。
背景からご説明しますが、政令指定都市の保健所では住民に身近な母子保健や健康づくりなど市区町村業務も担います。そのため住民向けの健康に関する教室やイベントを多職種が連携して企画・運営しています。名古屋市には30名ほどの公衆衛生医師がいて、多くが市内各区の保健センターで勤務しています。私の勤める区にはオフィス街や繁華街があり市内でも特に昼間人口が多いです。この特徴を生かして、地域の企業や団体などと連携した健康づくりを行っています。連携の方法は大きく2つです。
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(1枚目)観光名所 中部電力MIRAI TOWER(旧・名古屋テレビ塔)とオアシス21
オアシス21でのまちづくりイベントにも毎年ブース出展しています
1つ目が開催場所をお借りすることです。血圧・握力測定や推定野菜摂取量測定、咀嚼力チェックなど体験型の健康チェックを専門職種が商業施設の一角に出張して実施します。街に出向くと保健センターとの関わりが少ない方でも「自分でどこかに出向くのは面倒だけれど、たまたま居合わせたので体験したい」とお越しになります。また保健センターでの教室に日頃参加される方にとっても「普段行かない場所だけれどイベントがあったから来た」と目新しい場所に出かけるきっかけになります。イベントでは医師によるフレイル予防や感染症予防のミニ講話を行うことがあります。自身が講師をした際はクイズ形式にしたり参加者に話題を振ったり、井戸端会議のような双方向的で気軽な場になるよう心がけていました。中には主治医への体調の伝え方を相談されることがあり、地域に医療職が出かける意義を感じました。
2つ目が教室やイベントの内容面での連携です。保健センター単独ではなく、企業や団体にもその特色を生かした講話や実技、体験型健康チェックを実施していただきます。一例をあげると、スポーツ施設は体組成計測定や運動指導、食品メーカーは野菜摂取促進や減塩、大学のゼミとは謎解きと絡めたメンタルヘルスケアなどがあります。内容に多様性が出て、住民に興味を持っていただける機会が増えると考えています。ただ「何かわからないけど楽しかった」で終わらせないように保健センターと連携先が実施する内容には繋がりを持たせることを意識しています。
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(2枚目)タワーに少し近づいてから1枚目の反対側を撮った写真。
このビル群のうちの一つが中保健センターの入っているビルです。
また直近では、若者や働く世代に向けた健康づくりの取り組みを始めました。区の人口比率で15歳から64歳の生産年齢人口の占める割合が市内で最も高いものの、平日日中には学校や職場にいる方が多く、既存の教室やイベントでは十分に普及啓発ができないことが課題になっています。まだ手探りの部分が多いですが、学会で他の自治体での先行事例を情報収集しながら実施方法を検討しているところです。これまでの連携した実績を生かしながら企業や施設、学校などに伺って健康づくりの普及啓発を進めていきます。
(名古屋市保健所中保健センター 宇野春日)
2025年12月12日
公衆衛生医師の日常〜保健所長のお仕事はどのくらい充実しているのか?〜 (福島県相双保健所 安達優真)
2025年10月21日
臨床から行政に転職して(姫路市保健所 栗林睦子)
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2025年05月28日
東海大学医学生の保健所実習を行いました(神奈川県平塚保健福祉事務所 兼任千恵)
昨年度、東海大学医学部の社会医学(公衆衛生学分野)の授業の一環で、当所に学生実習の受け入れ依頼があり、保健所の業務や公衆衛生医師の役割について学んでいただきました。
2時間という短い時間でしたが、医学生のみなさんが積極的に実習に取り組んでくださったので、その様子をご紹介したいと思います。
東海大学では例年、医学部医学科3年生がグループに分かれ、それぞれ公衆衛生に関わる施設で実習を行うことになっているようで、当所には医学生7名と引率の立道昌幸教授がお越しくださいました。当所としては、所長、企画調整課の課長および保健師、それに私の4名で対応にあたりました。
それぞれ自己紹介をしてから、まずは保健所の業務内容について簡単にご紹介しました。
また、「公衆衛生医師の確保と育成に関する調査および実践事業班」で昨年度作成した、公衆衛生医師に関する情報サイトをまとめたチラシをお渡しし、二次元バーコードからアクセスを試みてもらいました。
令和6年度の本事業で作成した公衆衛生医師情報チラシ
実習内容については、「保健所における災害対応」と「公衆衛生医師業務とコンピテンシーを学ぶケーススタディ」の2本立てとしました。
「保健所における災害対応」のパートでは、企画調整課長から、災害時における神奈川県の保健医療調整機能について説明があり、その中で保健所が担う役割を学んでいただきました。
災害時、保健所には「地域災害医療対策会議」が設置され、市町村や関係団体と連携しながらその地域の医療救護活動の本部機能を担うことが求められます。そこで、「地域災害医療対策会議」のシナリオをもとに、保健所長、災害医療コーディネーター、DMAT活動拠点本部長、DHEATリーダー、DHEAT保健師、医師会理事、市の福祉課担当者、日本赤十字社救護班医師、JMAT医師の役割を分担し、ロールプレイングで体験していただきました。
「公衆衛生医師業務とコンピテンシーを学ぶケーススタディ」のパートでは、令和5年度に「公衆衛生医師の確保と育成に関する調査および実践事業班」で作成したケーススタディ集から、小学校給食で発生した大規模食中毒の事例を取り上げました。
自分が保健所長だったらどのように対応するか、まずペアで話し合ってもらい、その後、話し合った内容を全体で共有してもらいました。原因究明や再発防止策、保護者対応など、ペアごとに異なる視点で意見を出してくれて、私たち職員も多くの気づきを得ることができました。
(神奈川県平塚保健福祉事務所 兼任千恵)
2024年11月14日
保健所の広報活動(ポスター作成)
公衆衛生医師のお仕事紹介です。金沢市保健所の北岡です。
少し前の仕事ですが、住民の方への啓発のためにポスターを作成しました。
当時、保健所の食品衛生の部署で食品衛生監視員をしており、肉の生食や不十分な加熱による食中毒や、有症苦情(食中毒が疑われるもの)を多く経験しました。
現在、豚と牛レバーを生で食べることは禁止されており、ユッケなどの生食用の牛肉には厳しい規制があります。一方で生の鶏に関する規制は現時点ではなく、啓発は非常に重要です。
鶏を生もしくは不十分な加熱により食べることで、カンピロバクターによる食中毒が起こることがあります。カンピロバクターに汚染された食事をしてから2〜5日後に高熱、下痢、嘔吐、腹痛などの症状が出現し、その症状が治まったあとにギランバレー症候群(手足の麻痺や呼吸困難などの症状が出る)が起こることもあります。
このポスターはデザイン会社の方と、カンピロバクターによる食中毒を予防するための情報や伝えたいメッセージについて話し合っていく中で、調子が悪そうな鶏をメインに、「命トリ」という印象に残るコピーを提案してくださいました。
当初、鶏の背中にファスナーはありませんでしたが、鶏はカンピロバクターを保菌していても、調子が悪くなるわけではなく、ヒトがカンピロバクターで汚染された肉を食べることによって食中毒の原因となることを表現したかったので、ファスナーをつけていただきました。
完成後は給食施設や焼き肉店監視などで配付し、貼ってくれている施設も多くありました。
とはいえ、最近でもカンピロバクターに限らず、腸管出血性大腸菌による生肉や加熱が不十分な肉を食べたことに関連した食中毒の事例が数多く報告されています。腸管出血性大腸菌による食中毒では、溶血性尿毒症症候群(HUS)という重篤な合併症で死に至ることもあります。
「肉は十分に加熱してから食べる」
これは提供側への周知だけでなく、消費者側もよく知ることが大切です。
食事は旅行先でも重要な楽しみのひとつです。そんな食事が、健康を害するものにならないためにも、継続した啓発活動が必要と感じています。自治体の立場から、信頼ある情報をわかりやすく伝えることはとてもやりがいのある仕事です。
2024年10月24日
新興感染症患者の移送訓練を行いました
こんにちは。
茨城県筑西(ちくせい)保健所所属の服部です。
筑西保健所は日本百名山の一つである筑波山のふもとにあります。保健所から筑波山をきれいに眺めることができ、毎日癒されながらお仕事ができています。
今回は、管内の感染症指定医療機関と合同で行った新興感染症患者の移送訓練についてご紹介します。
保健所は感染症法第21条及び第47条に基づき、患者の移送を行う必要があります。新型コロナウイルス感染症の際にも感染者が発生すると、保健所職員が患者を病院へ移送していました。
今年度から管内にある医療機関が第二種感染症指定医療機関に指定され、医療機関側から、患者発生の一報を受けた場合の患者の受け渡しから院内への搬送する流れを確認したいとご相談があり、保健所と医療機関で合同の移送訓練を行うことになりました。
当日のシナリオは、新興感染症が海外で流行し始め、日本でも都市部を中心に患者が増加し、ついに管内にも感染者が発生したという想定の下、保健所職員が患者発生の第一報を管内の診療所より受け、感染症指定医療機関に患者を移送するという流れでした。
訓練前日に移送車を保有している保健所に赴き、移送車の操作のレクチャーを受けました。当日は、まずは所内にてアイソレーター(患者搬送用の密閉式カプセル)の組み立てを実施しました。実際にアイソレーターの中に職員に入ってもらったところ、アイソレーター内では体が固定され、内部が密閉空間になるためパニックになる可能性があるとの感想がありました。患者さんに対して不安を軽減させるために適切な声かけや説明を行う必要があることを実感しました。その後所内では、患者発生の一報を管内の診療所から受けた後の本庁疾病対策課、衛生研究所など関係機関との連絡訓練を行いました。
医療機関では、病院職員に対してタイベックススーツの着脱訓練を行っていました。声が聞きとりにくいのでホワイトボードを使う等の会話の工夫が必要、タイベックススーツには職種だけでなく名前もあったほうがよい等の実際に体験してみての意見が聞かれました。
所内訓練を終えたところで、保健所から実際に移送車を走らせ、医療機関での患者を受け渡し訓練を行いました。医療機関内では、患者の検査等を実施し、感染症病棟へ運ぶまでの流れも確認しました。天気はあいにくの雨でしたので患者役の方は大変でしたが、雨の場合の動線の確認なども行うことができました。
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最後の振り返りでは、外部と院内の電話連絡の方法の煩雑さが表面化し、机上では気づきにくいところの意見交換が活発に出きたので、実践訓練の必要性を実感することができました。「備えよ常に」の精神で訓練や顔のみえる関係づくりを日頃より行っていきたいと思いました。
2024年06月02日
議会との関わりを紹介します(群馬県健康福祉部感染症・疾病対策課 武智浩之)
わたしはこの投稿時点では行政医師になって15年目です。そして県庁の課長職に就いて2年目です。令和6年度は感染症や難病、アレルギー疾患、熱中症などを担当していますが、令和5年度は健康づくり、歯科口腔保健、食育、認知症、地域包括ケアなど担当する課で仕事をしました。今回のブログでは議会との関わりについて紹介します。
群馬県議会は県民の選挙によって選ばれた県民の代表である県議会議員の集まりで、大きく分けると1年間に3回開催されます。県議会は、条例や予算など県政の大切なことを県民に代わって話し合い、そして決定します。ほかにも、県行政の執行状況を監視・評価したり、県民の意見に基づいた政策の立案・提言を行います。
県議会には本会議と委員会があり、条例や予算等の議案が県議会に上程されると、本会議と委員会で話し合いが行われます。本会議では、議案や県の仕事に関する質疑を行うほか、議会としての最終的な意思決定を行います。委員会は、その話し合いを専門的、効率的に進めるために設置されます。
それでは令和6年3月に開催された令和6年第1回定例会での関わりを紹介します。定例会の本会議では、議員が施策の状況や方針等について、質問をしたり報告を求める「一般質問」が行われます。この定例会では「健康寿命延伸対策」「歯と口の健康に関する取組」等について一般質問されました。一般質問の質疑においては事前に議員からそのご意向を聞き取り、丁寧に答弁の準備を行います。この一般質問では健康福祉部長が答弁されました。
一般質問がなされることによって、対応すべき課題が一層明確になり、群馬県の政策・制度が県民のくらしのよりよい基盤であり続けることにつながります。群馬県議会の当日の様子はホームページから視聴できますのでぜひご覧ください。
また、わたしが所属する健康福祉部の所管事項は健康福祉常任委員会で審査・調査されます。常任委員会では、議案等に関して、委員(県議会議員)は自由に質疑し、意見を述べます。委員会には、実際の業務を担当する課長等も出席していますので、より詳細で自由、活発な議論がなされます。
この常任委員会では質問内容によって、わたしが答弁することもありました。要約すると、このブログのはじめに記載した自分が担当する業務に関連する議案や質問があったときに主担当として関わっていくということです。
議会に関心を持たれた方はぜひお住まいの自治体の議会ホームページをご覧くださいね。
(群馬県健康福祉部感染症・疾病対策課 武智浩之)
2024年02月12日
FETP研修に参加しています(金沢市保健所 北岡政美)
病院、大学院(公衆衛生)を経て、金沢市8年目の公衆衛生医師です。金沢市では主に感染症対策、食品衛生、病院の立入検査、医療安全、産業医業務などに携わってきました。熱意ある上司の導きと自分のやってみたい気持ちのタイミングが合致し、FETPの受検機会を得ました。2023年4月よりFETP研修に参加しており、その概要についてご紹介します。
FETP(エフイーティーピー)はField Epidemiology Training Programの略で、実地疫学専門家養成コースと呼ばれ、日本では国立感染症研究所での2年間の実務研修コースとして、1999年に設置されました。世界各国でFETP研修が実施され、専門家養成が行われています。コースの目的は感染症を中心とする健康危機事象を迅速に探知して適切な対応を実施するためのコアとなる実地疫学者を養成し、その全国規模ネットワークを確立することです。
コースの大きな柱として、アウトブレイク調査、サーベイランス、リスク評価、疫学研究、学会発表や論文発表などの情報発信、国内外とのネットワーキングがあります。FETPといえば感染症のアウトブレイク調査などの現地での活動のイメージが強いかもしれませんが、日々継続的に行い、活動の要となるのはサーベイランスです。
EBS(Event-based surveillance)とIBS(Indicator-based surveillance)の両輪で、感染症を中心とする健康危機事象として対応すべきことが起こっていないかを継続的、系統的に監視し続けています。EBSはインターネットの情報や公式情報、知り合いからの情報、うわさも含むもの、IBSは感染症発生動向調査などが相当します。変か(いつもと違う)、ひどいか(重症度など)、拡がるかの観点で、気になる事例を検討し、対応をするかどうかの判断と必要時の対応を行っています。
最近の出来事でいえば、ネットワーキングのひとつとして、WHO西太平洋地域事務局でのFETP fellowshipという8週間のプログラムがあり、機会をいただき参加してきました。日本での研修を活かしながらEBSなどを行い、他国のFETP fellowやWHOスタッフと働くことで、日本のFETP研修を客観的に見る機会になるとともに、立場が変わることで視点や対応が変化することを実体験することができました。
情報を系統的に継続的に見続けることで、「いつもと違う」に気が付くことや、得た情報をどのように解釈し、対応につなげていくか判断する力を養うことは、感染症に限らず行政での業務に活かせると感じています。ご興味のある方はぜひホームページをご覧ください。
実地疫学専門家養成コース (FETP-J) (niid.go.jp)
(金沢市保健所 北岡政美)