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2026年03月27日

医学生インターン実習を行いました(大阪府岸和田保健所 宮園将哉)

大阪府では、府内の医学部を中心に医学生の公衆衛生学・地域保健の実習を受け入れており、多くの場合2〜5日間程度で大学から依頼があった期間について、各班2〜3名程度の人数で保健所等で実習を受け入れています。

また、一部の大学では基礎医学分野への研究室配属の時期に、公衆衛生学教室に配属された学生さん(3年生)をインターン実習生として3〜4週間程度府庁等での実習を受け入れています。

先日、上記のインターン実習とは別に、将来大阪府への入職も視野にお考えの医学部5年生の方から個人的に相談を受け、検討の結果所属大学の公衆衛生学教室から正式に実習受け入れの依頼を受けるという手続きを経て、6週間のインターン実習を保健所と府庁で受け入れることになりました。

今回のインターン実習の中では、保健所内でのカンファレンスや感染症診査協議会などの所内の各種会議に加え、保健医療協議会や懇話会など所外の会議にも事務局等の一員として参加しながら、保健所職員の日常業務を体験していただき、法令に基づいた行政上の手続きなどについても理解を深めていただきました。

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感染症診査協議会では症例のプレゼンを体験

一方で、感染性胃腸炎の集団発生に対する疫学調査や、精神科病院の臨時の実地指導、保健師の家庭訪問への同行など、医学生でも比較的イメージしやすい様々な業務も体験していただくことで、保健所の専門職が現場に出向くような業務についても理解を深めていただくことができたと思います。

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保健所職員と机を並べて資料作成などの日常業務を体験

その中でも、今回は特に感染症患者搬送訓練を実施する時期と重なったことから、感染症の担当保健師チームと一緒に訓練の事前準備から関係機関との調整、訓練当日の実演に至るまで、一連の業務を経験していただきました。

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訓練前日には府庁から運んできた搬送車を使って訓練の準備とリハーサルを実施

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訓練当日には車いす型アイソレーターを用いて患者搬送や事後の消毒を実演

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訓練当日には管内の消防本部の救急車(予備車)を用いて車内の養生を実演

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管内消防本部の救急隊員のみなさんにも養生の実習をしていただきました

また、6週間のインターン実習の最終日には、大阪府庁の健康医療部長室において、健康医療部長や医療監をはじめ、私も含めてインターン実習の指導や調整などに関わった職員の前で、今回の実習で経験したことをまとめて発表していただきました。

発表内容には実習での経験がしっかりとまとめられていて、大阪府の保健所業務や府庁での保健医療行政の業務に加え、私たち公衆衛生医師(行政医師)の仕事内容についてもより理解を深めていただくことができたのではないかと思いました。

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実習最終日の発表会では今回のインターン実習で学んだことを職員の前で発表

(発表会資料の中から本人のご感想などを抜粋・一部改変)
○行政医師(公衆衛生医師)の役割について
・保健所長には管理職としての役割や、医師として医学的な専門性を担う役割とともに、組織を代表する立場としての役割があった
・本庁の行政医師は、臨床を知る医師としての知識や、医療機関側の視点への理解が深く、専門職としての役割がより顕著であった

○インターン実習の感想について
・医療機関と府民をつなぐ保健所の業務を体験できた
・医療を制度・仕組みの面から支える本庁業務を経験できた
・「なぜこの業務が行われているか」を意識しながら、業務に取り組むことができた
・行政医師の担う多岐にわたる役割を学ぶことができた
・行政医師としての自身の適性と課題を認識することができた


今回のインターン実習については、将来大阪府へ行政医師としての入職を考えているという医学生の方でしたので、個別のインターン実習受け入れも比較的スムーズに進めることができたと考えています。また、大阪府では、毎年9月ごろに行政医師の業務説明会を開催しており、その後例年11月ごろに行政医師職員の採用選考(採用試験)を実施しています。

公衆衛生医師(行政医師)として大阪府の保健所や府庁で働いてみたい!医療政策や感染症対策、精神保健福祉、難病対策、健康づくりなど、保健医療行政の現場で働いてみたい!とお考えの医学生や臨床医の方は、まずは大阪府庁の担当課(健康医療総務課人事グループ)までお問い合わせください。

(大阪府岸和田保健所 宮園将哉)
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2026年02月27日

都市部での健康づくり(名古屋市中保健センター宇野春日)

名古屋市中保健センターの宇野です。初期研修終了後すぐに行政の世界に入り、令和7年で医師7年目、入庁5年目になりました。公衆衛生医師の業務内容は自治体や配属部署により様々ですが、この記事では、私がいま取り組んでいるオフィス街や繫華街での健康づくりをご紹介します。

背景からご説明しますが、政令指定都市の保健所では住民に身近な母子保健や健康づくりなど市区町村業務も担います。そのため住民向けの健康に関する教室やイベントを多職種が連携して企画・運営しています。名古屋市には30名ほどの公衆衛生医師がいて、多くが市内各区の保健センターで勤務しています。私の勤める区にはオフィス街や繁華街があり市内でも特に昼間人口が多いです。この特徴を生かして、地域の企業や団体などと連携した健康づくりを行っています。連携の方法は大きく2つです。


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(1枚目)観光名所 中部電力MIRAI TOWER(旧・名古屋テレビ塔)とオアシス21

オアシス21でのまちづくりイベントにも毎年ブース出展しています


1つ目が開催場所をお借りすることです。血圧・握力測定や推定野菜摂取量測定、咀嚼力チェックなど体験型の健康チェックを専門職種が商業施設の一角に出張して実施します。街に出向くと保健センターとの関わりが少ない方でも「自分でどこかに出向くのは面倒だけれど、たまたま居合わせたので体験したい」とお越しになります。また保健センターでの教室に日頃参加される方にとっても「普段行かない場所だけれどイベントがあったから来た」と目新しい場所に出かけるきっかけになります。イベントでは医師によるフレイル予防や感染症予防のミニ講話を行うことがあります。自身が講師をした際はクイズ形式にしたり参加者に話題を振ったり、井戸端会議のような双方向的で気軽な場になるよう心がけていました。中には主治医への体調の伝え方を相談されることがあり、地域に医療職が出かける意義を感じました。


2つ目が教室やイベントの内容面での連携です。保健センター単独ではなく、企業や団体にもその特色を生かした講話や実技、体験型健康チェックを実施していただきます。一例をあげると、スポーツ施設は体組成計測定や運動指導、食品メーカーは野菜摂取促進や減塩、大学のゼミとは謎解きと絡めたメンタルヘルスケアなどがあります。内容に多様性が出て、住民に興味を持っていただける機会が増えると考えています。ただ「何かわからないけど楽しかった」で終わらせないように保健センターと連携先が実施する内容には繋がりを持たせることを意識しています。

 

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(2枚目)タワーに少し近づいてから1枚目の反対側を撮った写真。

このビル群のうちの一つが中保健センターの入っているビルです。


また直近では、若者や働く世代に向けた健康づくりの取り組みを始めました。区の人口比率で15歳から64歳の生産年齢人口の占める割合が市内で最も高いものの、平日日中には学校や職場にいる方が多く、既存の教室やイベントでは十分に普及啓発ができないことが課題になっています。まだ手探りの部分が多いですが、学会で他の自治体での先行事例を情報収集しながら実施方法を検討しているところです。これまでの連携した実績を生かしながら企業や施設、学校などに伺って健康づくりの普及啓発を進めていきます。


(名古屋市保健所中保健センター 宇野春日)

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2025年12月12日

公衆衛生医師の日常〜保健所長のお仕事はどのくらい充実しているのか?〜 (福島県相双保健所 安達優真)

こんにちは。
行政医師5年目、保健所長2年目、福島県相双保健福祉事務所(相双保健所)の安達です。

私は臨床(呼吸器内科)を経た、いわゆるセカンドキャリア組です。
私が行政医師を志した経緯に興味がある方は、こちらの記事をご覧ください。

今回は、お仕事の充実度について書いていきたいと思います。

行政組織上、保健所長は管理職(マネージャー)です。
しかしながら、特に地方において行政医師は"レアキャラ"ですので
医師の部下がいないために自らプレーヤーとして業務を行う場面も多くあります。
当所も例にもれず、行政医師は私1名のみです。
また、全国保健所長会の事業班活動も、若輩者の私はプレーヤーとして参加しています。

つまり、精力的に活動すればするほど必然的に保健所内にいる時間は短くなりそうです。

さて私の場合はどうか、検証してみましょう。

(1)調査の仮説
 保健所長(私)は、他の管理職と比較して終日保健所にいる日の割合が低い。

(2)調査方法
 ・当所で作成している週間予定表のデータ(令和7年10月〜11月分)を用いました。
 ・所外における業務が記載されていない日を「終日保健所にいる日(終日在所日)」としました。
 ・土日祝日を除く平日を分母、「終日保健所にいる日(終日在所日)」を分子として割合(終日在所割合)を算出しました。
 ・私(保健福祉事務所副所長 兼 保健所長)と、他の所内管理職(5名)の間で終日在所割合の差の検定を行いました。
 ・両側検定、有意水準をp<0.05としました。

(3)調査結果
 土日祝日を除く平日は40日でした。
【強調】図1_終日在所日数.JPG
【強調】図2_終日在所割合.JPG
               * p<0.05, ** p<0.01

 〇主な所外業務
  ・DHEAT関係(本庁と連携して研修を企画・実施)
  ・感染症対策セミナー(管内医師会と連携して企画・実施)
  ・管内にある医療系専門学校の講師
  ・病院立入検査(医療監視)
  ・産業医活動(衛生委員会への出席、面談等)
  ・外部研修受講(感染症関係)
  ・学会参加
  ・管内市町村が開催する会議(精神関係、健康づくり関係)
  ・研究(社会人大学院生として)

(4)考察
 ・仮説通り、保健所長(私)は、他の管理職(5名全員)と比較して有意に終日在所割合が低いことがわかりました。
 ・他の管理職と比較し、所外における業務が充実していることが示唆されます。
 ・一方で、所内でしか実施できない業務は少ない時間で行う必要があるため、
  所内職員とのコミュニケーションを意識的に行う等、創意工夫と日々の精進が必要です。
 ・私は1カ所のみの勤務ですが、2カ所以上の保健所を兼務する全国各地の保健所長のみなさまはどのように業務を行っているのでしょうか…推して知るべしです。

 【調査の限界】
 ・単施設における調査です。
 ・(年間ではなく)2ヶ月間のデータのみを使用しています。
 ・週間予定表に記載されていない情報(急な予定変更、休暇等)は反映されていません。

(福島県相双保健福祉事務所(相双保健所) 安達優真)
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2025年10月21日

臨床から行政に転職して(姫路市保健所 栗林睦子)

こんにちは。兵庫県姫路市の保健所で勤務しております、栗林と申します。

私は一昨年まで臨床で小児科医として勤務していましたが、昨年姫路市保健所に入職しました。今回はまだ行政に入職して1年の私が、臨床から移って感じたことについてお伝えできればと思います。現在臨床で働いている先生や学生さんなどで、今後行政にも興味をお持ちの方の参考になれば幸いです。

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(姫路市保健所からも姫路城がギリギリ見えます!)

臨床で働いていたとき、保健所との接点は感染症の発生届を出したりコロナ禍での入院調整をしてもらったりする程度で、正直その業務の全体像は見えていませんでした。

実際入職してみて改めて驚いたのは、その守備範囲の広さです。感染症以外にも、乳幼児健診をはじめとした母子保健、依存症などに対応する精神保健、生活習慣病や熱中症の予防、がん検診、予防接種、医療機関の立ち入り、市民からの医療相談の対応、食品衛生や動物の対応まで!

今は小児科医ということで母子保健中心の課で仕事をしている一方で、医師業務の必要に応じて所属課以外の業務にも顔を出していますが、本当にいろんなことをしている部署があり、1年経った今でも日々新しいことを学んでいる気持ちです。

入職当初に戸惑ったことを思い返してみると、最初に感じたのは誰を自分の上司としていいのかの戸惑いでした。病院では自分の上司は迷いなく小児科医師である先輩や部長でした。保健所に入職してからは、医師が少ない自治体であることもあり、他職種である係長や課長にいろいろなことを教えていただきました

医師業務とそれ以外で上司となる相手が変わる感覚で、最初は誰に何を聞いていいのかわからず戸惑った部分もありましたが、実際に事業に携わるようになると多職種で一緒に取り組むことが非常に多く、行政の現場においてのコミュニケーションの重要性を実感しています。 

最後に生活スタイルについて。前職は急性期病院で勤務していたので、定期的に当直があり、働き方改革が進んできていたとはいえ、やはり時間外勤務も多かったです。幸運なことに素敵な上司や同僚に恵まれて、やりがいもあって楽しかったのですが、一方で体力的に長く続けられないのでは、という不安がありました。勉強したいことはたくさんあるのにその時間と元気がない、ということも悔しい部分でした。

転職後は少し体力的に余裕のある勤務の中で、休日も自己研鑽として学会や勉強会に参加することはありますが、業務として職場へ出勤することはかなり減りました。上で述べたように幅広い業務に携わるので、勉強したいことは山のようにありますし、勤務時間内外を問わず様々な研修の案内が得られるのもありがたいです。 

行政医師はまだまだ人数が少ないですが、その分つながりを大事にされている先生方が多いなと感じています。姫路市は行政医師の多くない自治体ですが、本ブログを運営している事業班でのつながりや、県内での他市町とのつながりなど、入職直後から自治体を超えていろいろな先生方のお話を聞く機会があり、とてもありがたく感じています。

10月29日の第84回日本公衆衛生学会総会の自由集会でも若手公衆衛生医師の本音をお話できればと思っています。(詳細はこち)学会に参加される方はぜひ、お待ちしています!

(姫路市こどもの未来健康支援センター 兼 保健所健康課 栗林睦子)

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2025年05月28日

東海大学医学生の保健所実習を行いました(神奈川県平塚保健福祉事務所 兼任千恵)

昨年度、東海大学医学部の社会医学(公衆衛生学分野)の授業の一環で、当所に学生実習の受け入れ依頼があり、保健所の業務や公衆衛生医師の役割について学んでいただきました。

2時間という短い時間でしたが、医学生のみなさんが積極的に実習に取り組んでくださったので、その様子をご紹介したいと思います。


東海大学では例年、医学部医学科3年生がグループに分かれ、それぞれ公衆衛生に関わる施設で実習を行うことになっているようで、当所には医学生7名と引率の立道昌幸教授がお越しくださいました。当所としては、所長、企画調整課の課長および保健師、それに私の4名で対応にあたりました。


それぞれ自己紹介をしてから、まずは保健所の業務内容について簡単にご紹介しました。

また、「公衆衛生医師の確保と育成に関する調査および実践事業班」で昨年度作成した、公衆衛生医師に関する情報サイトをまとめたチラシをお渡しし、二次元バーコードからアクセスを試みてもらいました。


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令和6年度の本事業で作成した公衆衛生医師情報チラシ


実習内容については、「保健所における災害対応」と「公衆衛生医師業務とコンピテンシーを学ぶケーススタディ」の2本立てとしました。


「保健所における災害対応」のパートでは、企画調整課長から、災害時における神奈川県の保健医療調整機能について説明があり、その中で保健所が担う役割を学んでいただきました。


災害時、保健所には「地域災害医療対策会議」が設置され、市町村や関係団体と連携しながらその地域の医療救護活動の本部機能を担うことが求められます。そこで、「地域災害医療対策会議」のシナリオをもとに、保健所長、災害医療コーディネーター、DMAT活動拠点本部長、DHEATリーダー、DHEAT保健師、医師会理事、市の福祉課担当者、日本赤十字社救護班医師、JMAT医師の役割を分担し、ロールプレイングで体験していただきました。


「公衆衛生医師業務とコンピテンシーを学ぶケーススタディ」のパートでは、令和5年度に「公衆衛生医師の確保と育成に関する調査および実践事業班」で作成したケーススタディ集から、小学校給食で発生した大規模食中毒の事例を取り上げました。


自分が保健所長だったらどのように対応するか、まずペアで話し合ってもらい、その後、話し合った内容を全体で共有してもらいました。原因究明や再発防止策、保護者対応など、ペアごとに異なる視点で意見を出してくれて、私たち職員も多くの気づきを得ることができました。


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実習後に記入してもらったアンケートからは、参加型の実習を通して保健所の役割を楽しく学べた、保健所の医師というキャリアがあることがわかってよかった、という声も聞かれ、短時間ながらも充実した実習となったのではないかと思います。このような実習をきっかけに公衆衛生医師に興味を持ち、キャリアの選択肢のひとつとして検討してくれる医学生が増えることを期待しています。

(神奈川県平塚保健福祉事務所 兼任千恵)

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2024年11月14日

保健所の広報活動(ポスター作成)

公衆衛生医師のお仕事紹介です。金沢市保健所の北岡です。


少し前の仕事ですが、住民の方への啓発のためにポスターを作成しました。


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当時、保健所の食品衛生の部署で食品衛生監視員をしており、肉の生食や不十分な加熱による食中毒や、有症苦情(食中毒が疑われるもの)を多く経験しました。


現在、豚と牛レバーを生で食べることは禁止されており、ユッケなどの生食用の牛肉には厳しい規制があります。一方で生の鶏に関する規制は現時点ではなく、啓発は非常に重要です。

鶏を生もしくは不十分な加熱により食べることで、カンピロバクターによる食中毒が起こることがあります。カンピロバクターに汚染された食事をしてから2〜5日後に高熱、下痢、嘔吐、腹痛などの症状が出現し、その症状が治まったあとにギランバレー症候群(手足の麻痺や呼吸困難などの症状が出る)が起こることもあります。


このポスターはデザイン会社の方と、カンピロバクターによる食中毒を予防するための情報や伝えたいメッセージについて話し合っていく中で、調子が悪そうな鶏をメインに、「命トリ」という印象に残るコピーを提案してくださいました。


当初、鶏の背中にファスナーはありませんでしたが、鶏はカンピロバクターを保菌していても、調子が悪くなるわけではなく、ヒトがカンピロバクターで汚染された肉を食べることによって食中毒の原因となることを表現したかったので、ファスナーをつけていただきました。


完成後は給食施設や焼き肉店監視などで配付し、貼ってくれている施設も多くありました。


とはいえ、最近でもカンピロバクターに限らず、腸管出血性大腸菌による生肉や加熱が不十分な肉を食べたことに関連した食中毒の事例が数多く報告されています。腸管出血性大腸菌による食中毒では、溶血性尿毒症症候群(HUS)という重篤な合併症で死に至ることもあります。


「肉は十分に加熱してから食べる」


これは提供側への周知だけでなく、消費者側もよく知ることが大切です。


食事は旅行先でも重要な楽しみのひとつです。そんな食事が、健康を害するものにならないためにも、継続した啓発活動が必要と感じています。自治体の立場から、信頼ある情報をわかりやすく伝えることはとてもやりがいのある仕事です。


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2024年10月24日

新興感染症患者の移送訓練を行いました

こんにちは。

茨城県筑西(ちくせい)保健所所属の服部です。

筑西保健所は日本百名山の一つである筑波山のふもとにあります。保健所から筑波山をきれいに眺めることができ、毎日癒されながらお仕事ができています。


今回は、管内の感染症指定医療機関と合同で行った新興感染症患者の移送訓練についてご紹介します。


保健所は感染症法第21条及び第47条に基づき、患者の移送を行う必要があります。新型コロナウイルス感染症の際にも感染者が発生すると、保健所職員が患者を病院へ移送していました。

今年度から管内にある医療機関が第二種感染症指定医療機関に指定され、医療機関側から、患者発生の一報を受けた場合の患者の受け渡しから院内への搬送する流れを確認したいとご相談があり、保健所と医療機関で合同の移送訓練を行うことになりました。


当日のシナリオは、新興感染症が海外で流行し始め、日本でも都市部を中心に患者が増加し、ついに管内にも感染者が発生したという想定の下、保健所職員が患者発生の第一報を管内の診療所より受け、感染症指定医療機関に患者を移送するという流れでした。

訓練前日に移送車を保有している保健所に赴き、移送車の操作のレクチャーを受けました。当日は、まずは所内にてアイソレーター(患者搬送用の密閉式カプセル)の組み立てを実施しました。実際にアイソレーターの中に職員に入ってもらったところ、アイソレーター内では体が固定され、内部が密閉空間になるためパニックになる可能性があるとの感想がありました。患者さんに対して不安を軽減させるために適切な声かけや説明を行う必要があることを実感しました。その後所内では、患者発生の一報を管内の診療所から受けた後の本庁疾病対策課、衛生研究所など関係機関との連絡訓練を行いました。

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 医療機関では、病院職員に対してタイベックススーツの着脱訓練を行っていました。声が聞きとりにくいのでホワイトボードを使う等の会話の工夫が必要、タイベックススーツには職種だけでなく名前もあったほうがよい等の実際に体験してみての意見が聞かれました。


所内訓練を終えたところで、保健所から実際に移送車を走らせ、医療機関での患者を受け渡し訓練を行いました。医療機関内では、患者の検査等を実施し、感染症病棟へ運ぶまでの流れも確認しました。天気はあいにくの雨でしたので患者役の方は大変でしたが、雨の場合の動線の確認なども行うことができました。

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最後の振り返りでは、外部と院内の電話連絡の方法の煩雑さが表面化し、机上では気づきにくいところの意見交換が活発に出きたので、実践訓練の必要性を実感することができました。「備えよ常に」の精神で訓練や顔のみえる関係づくりを日頃より行っていきたいと思いました。


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2024年06月02日

議会との関わりを紹介します(群馬県健康福祉部感染症・疾病対策課 武智浩之)

わたしはこの投稿時点では行政医師になって15年目です。そして県庁の課長職に就いて2年目です。令和6年度は感染症や難病、アレルギー疾患、熱中症などを担当していますが、令和5年度は健康づくり、歯科口腔保健、食育、認知症、地域包括ケアなど担当する課で仕事をしました。今回のブログでは議会との関わりについて紹介します。


群馬県議会は県民の選挙によって選ばれた県民の代表である県議会議員の集まりで、大きく分けると1年間に3回開催されます。県議会は、条例や予算など県政の大切なことを県民に代わって話し合い、そして決定します。ほかにも、県行政の執行状況を監視・評価したり、県民の意見に基づいた政策の立案・提言を行います。


県議会には本会議と委員会があり、条例や予算等の議案が県議会に上程されると、本会議と委員会で話し合いが行われます。本会議では、議案や県の仕事に関する質疑を行うほか、議会としての最終的な意思決定を行います。委員会は、その話し合いを専門的、効率的に進めるために設置されます。



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それでは令和63月に開催された令和6年第1回定例会での関わりを紹介します。定例会の本会議では、議員が施策の状況や方針等について、質問をしたり報告を求める「一般質問」が行われます。この定例会では「健康寿命延伸対策」「歯と口の健康に関する取組」等について一般質問されました。一般質問の質疑においては事前に議員からそのご意向を聞き取り、丁寧に答弁の準備を行います。この一般質問では健康福祉部長が答弁されました。


一般質問がなされることによって、対応すべき課題が一層明確になり、群馬県の政策・制度が県民のくらしのよりよい基盤であり続けることにつながります。群馬県議会の当日の様子はホームページから視聴できますのでぜひご覧ください。


また、わたしが所属する健康福祉部の所管事項は健康福祉常任委員会で審査・調査されます。常任委員会では、議案等に関して、委員(県議会議員)は自由に質疑し、意見を述べます。委員会には、実際の業務を担当する課長等も出席していますので、より詳細で自由、活発な議論がなされます。


この常任委員会では質問内容によって、わたしが答弁することもありました。要約すると、このブログのはじめに記載した自分が担当する業務に関連する議案や質問があったときに主担当として関わっていくということです。


議会に関心を持たれた方はぜひお住まいの自治体の議会ホームページをご覧くださいね。


(群馬県健康福祉部感染症・疾病対策課 武智浩之)


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2024年02月12日

FETP研修に参加しています(金沢市保健所 北岡政美)

病院、大学院(公衆衛生)を経て、金沢市8年目の公衆衛生医師です。金沢市では主に感染症対策、食品衛生、病院の立入検査、医療安全、産業医業務などに携わってきました。熱意ある上司の導きと自分のやってみたい気持ちのタイミングが合致し、FETPの受検機会を得ました。20234月よりFETP研修に参加しており、その概要についてご紹介します。


FETP(エフイーティーピー)はField Epidemiology Training Programの略で、実地疫学専門家養成コースと呼ばれ、日本では国立感染症研究所での2年間の実務研修コースとして、1999年に設置されました。世界各国でFETP研修が実施され、専門家養成が行われています。コースの目的は感染症を中心とする健康危機事象を迅速に探知して適切な対応を実施するためのコアとなる実地疫学者を養成し、その全国規模ネットワークを確立することです。


コースの大きな柱として、アウトブレイク調査、サーベイランス、リスク評価、疫学研究、学会発表や論文発表などの情報発信、国内外とのネットワーキングがあります。FETPといえば感染症のアウトブレイク調査などの現地での活動のイメージが強いかもしれませんが、日々継続的に行い、活動の要となるのはサーベイランスです。


EBSEvent-based surveillance)とIBSIndicator-based surveillance)の両輪で、感染症を中心とする健康危機事象として対応すべきことが起こっていないかを継続的、系統的に監視し続けています。EBSはインターネットの情報や公式情報、知り合いからの情報、うわさも含むもの、IBSは感染症発生動向調査などが相当します。変か(いつもと違う)、ひどいか(重症度など)、拡がるかの観点で、気になる事例を検討し、対応をするかどうかの判断と必要時の対応を行っています。


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最近の出来事でいえば、ネットワーキングのひとつとして、WHO西太平洋地域事務局でのFETP fellowshipという8週間のプログラムがあり、機会をいただき参加してきました。日本での研修を活かしながらEBSなどを行い、他国のFETP fellowWHOスタッフと働くことで、日本のFETP研修を客観的に見る機会になるとともに、立場が変わることで視点や対応が変化することを実体験することができました。


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情報を系統的に継続的に見続けることで、「いつもと違う」に気が付くことや、得た情報をどのように解釈し、対応につなげていくか判断する力を養うことは、感染症に限らず行政での業務に活かせると感じています。ご興味のある方はぜひホームページをご覧ください。

実地疫学専門家養成コース (FETP-J) (niid.go.jp)


(金沢市保健所 北岡政美)

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2024年01月10日

自治医大医学生の公衆衛生学実習(宮崎県日向保健所 豊嶋典世)

みなさま、こんにちは。今回は宮崎県福祉保健部からの報告です。

個人的には後進の育成はライフワークなのですが、県のミッションにもなっている公衆衛生医師確保のため、本庁で行われた自治医科大学医学科5年生の公衆衛生学実習に参加してきましたのでその模様を報告します。

令和5年度は4人の医学生が本県での公衆衛生学実習に参加しています(うち3人は本県出身者です)。実質2日間半での本庁実習で、なかなかタイトスケジュール(トータル5日間の実習を保健所と本庁とで折半)です。

11月14日の午後から始まった実習1日目は、行政医師の業務説明に続き、予定されているワークショップのテーマ設定(今回は宮崎県の健康課題からチョイス)、担当課へのききとり、情報のとりまとめとディスカッション....議会対応か...って思うほどには忙しいです。

今回のテーマは2つ、
 ・男子チーム:健康増進のための1日+1000歩対策
 ・女子チーム:HPVワクチン接種の普及啓発策
でした。身近な課題を自分事として捉え、県民の行動変容を促すためにできることを考える、実現可能な計画を練るプロセスを体験してもらいます。

自治医大M5実習R51114.png

本庁実習2日目。担当課への再確認とそれぞれのチームの意見をまとめたのちにプレゼン資料を作成し、部長・次長・担当課長の前で自分たちオリジナルの若者視点の解決プランを力強く提示してくれました。部長も「多くのことを教えてもらい、大変ためになりました」と絶賛でしたので、皆さんのプランはこれからの宮崎県の施策にも活かされるはずです。

今回の実習を通して、ポピュレーションアプローチという公衆衛生のおもしろさを学べていたら嬉しいです。実習に参加した学生さんと将来本県で一緒に働けることを夢みて、私もこれから一層精進します。

その日の夜は宮崎の食文化を学び、お互いにとても楽しい時間を過ごせました!ご協力頂いた皆さま、ありがとうございました。

(宮崎県日向保健所 豊嶋典世)
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