昨年度、東海大学医学部の社会医学(公衆衛生学分野)の授業の一環で、当所に学生実習の受け入れ依頼があり、保健所の業務や公衆衛生医師の役割について学んでいただきました。
2時間という短い時間でしたが、医学生のみなさんが積極的に実習に取り組んでくださったので、その様子をご紹介したいと思います。
東海大学では例年、医学部医学科3年生がグループに分かれ、それぞれ公衆衛生に関わる施設で実習を行うことになっているようで、当所には医学生7名と引率の立道昌幸教授がお越しくださいました。当所としては、所長、企画調整課の課長および保健師、それに私の4名で対応にあたりました。
それぞれ自己紹介をしてから、まずは保健所の業務内容について簡単にご紹介しました。
また、「公衆衛生医師の確保と育成に関する調査および実践事業班」で昨年度作成した、公衆衛生医師に関する情報サイトをまとめたチラシをお渡しし、二次元バーコードからアクセスを試みてもらいました。
令和6年度の本事業で作成した公衆衛生医師情報チラシ
実習内容については、「保健所における災害対応」と「公衆衛生医師業務とコンピテンシーを学ぶケーススタディ」の2本立てとしました。
「保健所における災害対応」のパートでは、企画調整課長から、災害時における神奈川県の保健医療調整機能について説明があり、その中で保健所が担う役割を学んでいただきました。
災害時、保健所には「地域災害医療対策会議」が設置され、市町村や関係団体と連携しながらその地域の医療救護活動の本部機能を担うことが求められます。そこで、「地域災害医療対策会議」のシナリオをもとに、保健所長、災害医療コーディネーター、DMAT活動拠点本部長、DHEATリーダー、DHEAT保健師、医師会理事、市の福祉課担当者、日本赤十字社救護班医師、JMAT医師の役割を分担し、ロールプレイングで体験していただきました。
「公衆衛生医師業務とコンピテンシーを学ぶケーススタディ」のパートでは、令和5年度に「公衆衛生医師の確保と育成に関する調査および実践事業班」で作成したケーススタディ集から、小学校給食で発生した大規模食中毒の事例を取り上げました。
自分が保健所長だったらどのように対応するか、まずペアで話し合ってもらい、その後、話し合った内容を全体で共有してもらいました。原因究明や再発防止策、保護者対応など、ペアごとに異なる視点で意見を出してくれて、私たち職員も多くの気づきを得ることができました。
(神奈川県平塚保健福祉事務所 兼任千恵)