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2022年10月01日

原子力防災(北海道庁保健福祉部(前・北海道岩内保健所長)村松 司)

 健康危機管理の中で、最近とりわけ注目されてきているのが、CBRNE災害と呼ばれる大規模かつ大きな災害です。
 CBRNEとは、Chemical(化学)、Biological(生物)、Radiological(放射性物質)、Nuclear(核)、Explosive(爆発物)の頭文字をまとめたもので、いずれも広範囲に甚大な被害をもたらすものです。

 私は本年3月まで、倶知安保健所との兼務ではありましたが、泊原子力発電所の立地する岩内保健所の所長をしておりました。
 岩内保健所の所長は、あまり考えたくない事態ではありますが、原子力発電所において万一の過酷事故が発生した際、泊原発から距離にして10kmほど離れた共和町にある「北海道原子力防災センター」に詰めて、国の現地対策本部の医療班の副班長(班長は国から派遣される)として、現地の負傷者等の医療調整を、近隣の医療機関や場合によっては大学病院などとも連携して行います。また、現地住民への安定ヨウ素剤の内服指示の伝達なども重要な任務です。

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 北海道では毎年秋頃に、このような原発の過酷事故を想定して、現地住民にもご協力いただいての大規模な避難訓練を伴う、「原子力防災訓練」を行っています。昨年度は私も岩内保健所長として参加し、実際に防災センターに詰めて危機管理のオペレーションに参加しました(本当は写真などがあると良いのですが、保安上の理由から内部の撮影は厳禁なのです)。残念ながらコロナ禍のために住民参加の避難訓練は中止となりましたが、国や原発立地周辺町村などとも協力して、実際の危機管理のオペレーションを動かすことで様々な課題が抽出でき、実りの多い訓練であったと思います。

IMG_0980.JPG

 今はコロナ禍で保健所の健康危機管理が注目されていますが、健康危機は感染症だけではなく、こういった災害も想定して、訓練などを通して常に「起こってはならないが、起こったらどうする」を頭に描いておく必要があります。それが平時からの危機管理です。

 それもまた、保健所長の大切なお仕事です。

(北海道庁保健福祉部地域医療課・地域保健課・感染症対策課(前・北海道岩内保健所長) 村松 司)

posted by 公衆衛生医師確保育成事業班 at 22:00 | TrackBack(0) | 業務紹介
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