
【公衆衛生医師の日常】とある地方都市の保健所・合同庁舎での避難訓練の一コマ(山形県最上保健所長 鈴木恵美子)[2021年11月13日(Sat)]
本日は、公衆衛生医師の日常の一コマとして秋晴れの下の行われた避難訓練の様子をご紹介します。避難訓練自体は病院でもよく行われるので珍しくはないと思いますが、公衆衛生医師の多くは臨床の場以外で働いているので、訓練の様子もちょっと違います。

わたしの職場は地方の県型保健所です。人口の少ない地域では単独の公所(建物とほぼ同じものを指します)ではなく、総合支庁あるいは地域事務所などと呼ばれる「県庁の支店のようなところ」の一部として置かれ、合同庁舎となっていることが多いのです。
なので、行政職の方々と様々な業務や活動を供にします。大部分は、産業経済、建設など、保健医療福祉とは全く畑違いの皆さんですが、地域住民の安心安全な暮らしのために働くという目標は一緒です。そんな中で行われる避難訓練は、やはり病院のそれとは違い、スケールも大きいのです。
わたしたちの地域の避難訓練では、毎回、広域消防のレスキュー隊によるはしご車救出訓練を行っています。「地震により職員食堂の厨房から出火したが、最上階の職員が逃げ遅れ屋上に避難した、さらに保健所には要援護者(車いす利用の来所者)もいる。」、という想定ですが、シナリオは一部の運営側を除いてマル秘です。緊迫したなか、屋上を除く全員が外へ避難し、かたずをのんではしご車での救出を見守りました。
なかなか見ることのできない場面に、防災意識も高まります。過去には近隣の保育園の園児らも見学に訪れていたとか。今年はコロナ禍で来客はありませんでしたが、お隣の幼稚園からはかわいいエールが聞こえていました。
多数のレスキュー隊員と重装備のはしご車を出すのは大変なご苦労があるのでは?と尋ねたところ、広域消防としても、このような機会でもないとなかなかビル屋上での実践訓練ができないので、いうことだそうです。まさにWin-Winの関係ですね。
一糸乱れぬレスキュー隊員たちの号令に合わせてぐんぐんと登っていくはしご車や、救助され地上に降り立つ職員の様子など、動画でお伝え出来ないのが残念ですが、記録写真が何枚かありますのでご覧ください。ナンバープレートはもちろん“119”です!
(山形県最上保健所長 鈴木恵美子)