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2023年12月07日

重症難病患者を対象とする災害訓練を行いました(徳島県阿南保健所 郡尋香)

徳島県入職10年目の郡です。今回は、勤務先の阿南保健所で企画した災害訓練についてご紹介します。

多くの保健所では、難病対策として、相談や訪問支援などの個別支援、医療費助成、地域の保健医療福祉ネットワーク構築、人材育成、普及啓発などを行っています。その中には地域で過ごす難病患者の災害対策も含まれています。

医療依存度の高い難病患者では災害時の避難や移動も大変で、平時の準備がより重要となるため、関係者に呼びかけて訓練を行いました。メンバーは、協力患者さん、ご家族、ケアマネジャー、訪問介護、訪問看護、人工呼吸器メーカー、地域包括支援センター、地元・阿南市の関係部局(保健・障がい・防災担当)、消防、地域住民(自主防災会・民生委員)と、多くの参加がありました。

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協力患者さんは自宅での垂直避難訓練を経験されていたため、今回は発災から数日経過した想定で施設間移動を訓練しました。避難先の病院から福祉避難所の特養までの移動です。

施設間の移動では調整も多く、支援者同士で重ねた打合せや訓練で役割を確認し、関係を深めることができました。人工呼吸器、吸引器の他にも必要な物品は多く減らしても荷物は大量でしたが、地域の方が運搬役を担いスムーズに移動できました。訓練とは異なり、発災時に支援者が揃うことはないため、その点も踏まえて備える必要があります。

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振り返りでは、協力患者さんが「みんなの顔を見て力が湧いてきた」と仰っていました。また、地域の方の「訓練を自主防災会活動に活かしたい」というコメントに、とても心強く感じました。

今回の訓練対象者は1名だけです。しかし、他の災害時要援護者支援とも共通したり、地域全体の仕組みに反映できることもたくさん確認できました。訓練の企画実施は時間も労力も必要ですが、得られるものも大きいですね。
(徳島県阿南保健所 郡尋香)
posted by 公衆衛生医師の確保と育成に関する事業班 at 22:00 | TrackBack(0) | 公衆衛生医師の日常
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