2014年09月30日
収支相償のクリアに向けてA
皆さん、こんにちは、ペンデル税理士法人の福山です。
今回も前回に引き続き、収支相償のクリアについてです。
前回記載した検討の流れのSTEP1〜4のうち、STEP1・2について、
具体例を交えポイントを記載したいと思います。
STEP1.収益・費用の計上区分の確認
収益と費用の計上事業区分について、公益事業の黒字額を減少させる観点から確認します。
(1)収益項目
法人会計または、指定正味財産に計上できるものはないか、
以下の取扱の適用是非について確認してみましょう。
@ 事業が公益のみ(収益事業等なし)の場合
→ 公益事業の収益も一定額は法人会計に計上可能
A 寄附金や賛助会費など対価性のない収益
→ 使途の特定を前提に法人会計や指定正味財産に計上可能
使途の特定とは、例えば、法人会計の管理費や、将来の○○周年事業(公益事業)のための
寄附金などのように、寄附者によって使い道が指定されていることをいいます。
この場合、
前者であれば法人会計に、後者は公益事業の指定正味財産に計上することになり、
いずれも、収支相償の判定対象の収益からは除外されることになります。
公益法人が使途の定めのない寄附金等を受けた場合には、
原則として、公益事業で全額計上せざるを得ません(社団法人の通常会費を除く)。
しかし、
使途の特定がある場合にはそれに従うことになります。
つまり、
優先されるのは寄附者の使途であり、その使途によって計上区分が決まるということです。
したがって、
このことを踏まえ寄附や賛助会費を募集することで、収支相償はぐっと満たし易くなります。
(2)費用項目
各会計・事業に共通してかかる費用は配賦可能ですが、配賦基準の算定の手間などを理由に
配賦しない場合には、法人会計に計上することになります。
以下項目は、実際の相談会等で対応した団体が、法人会計に全額計上していたものの例です。
配賦の是非について検討してみましょう。
@ 役員の人件費
→ 役員といえどもマンパワーの問題から、直接的な事業にかかわるケースは
少なくないと思います。この場合、従事時間をベースに配賦可能です。
A 総務・経理スタッフの人件費
→ このような管理スタッフの人件費を、管理費つまり法人会計に全額計上している
ケースをよく見かけます。管理スタッフでも、例えば、公益セミナーの手配や、
入出金管理を行うことは想定され、この場合、公益事業への配賦はもちろん可能です。
STEP2.黒字原因と翌期計画の確認
黒字が、恒常的なものか、それとも一時的なものかについて確認します。
例えば、予定していた大会の中止で、費用が圧縮された結果、黒字になったような場合には、
一時的な理由と説明できます。そしてつづく翌期に、大会の規模拡大等により、
『 今期黒字額 < 翌期赤字額 』 が見込まれる場合には、クリアしたものとされます。
なお、この場合には、拡大等の見込みについて、翌期の事業計画書及び予算書に織り込んで
おく必要があるでしょう。
2014年09月25日
収支相償のクリアに向けて
皆さんこんにちは、ペンデル税理士法人の福山です。
「収支相償をクリアするにはどうしたらいいか?」
相談会などでは、
現に公益法人として活動されている方に限らず、
公益化を目指している方々からも、よく受ける質問です。
言うまでもなく、収支相償とは、
公益事業に赤字、又は収支トントンを求める基準であり、
健全な法人運営を行う上では、大きな障害になっています。
制度上の対策としては、
特定費用準備資金や資産取得資金が用意されていますが、
規程の作成をはじめ制約が多いため、活用は最小限にとどめたいところです。
そこで、
収支相償クリアに向けた検討の流れとポイントについて、
数回に分け、記載したいと思います。
まず今回は、
検討の流れと、その概要について記載します。
<検討の流れと概要>
STEP1.収益・費用の計上区分の確認
→ 収支差額は言うまでもなく、収益と費用の差額です。
したがって、収益と費用を計上する区分について、
公益事業の差額を減少させる観点から確認します。
STEP2.黒字原因と翌期計画の確認
→ 黒字が、恒常的なものか、それとも一時的なものかについて確認します。
一時的な理由の場合には、翌期の見通しを含めた説明により、クリアできます。
STEP3.公益目的保有財産の取得の検討
→ 公益目的保有財産は、有形・無形の固定資産が想定されているようですが、
当期にこれらを取得する場合には、クリアしたものとされます。
STEP4.特定費用準備資金・資産取得資金の検討
→ 前述のSTEP1~3でも対応できない場合に初めて、
特定費用準備資金等について検討することになります。
次回以降で、上記STEP1~4のポイントについて、具体的に記載したいと思います。
2014年09月01日
一般法人と行政庁
こんにちは、ペンデル税理士法人の福山です。
一般法人(※)における行政庁とのかかわりについては、
公益目的支出計画実施報告書(実施報告書)の提出が
まず頭に浮かぶことと思いますが、
それ以外については、十分に周知が進んでいないように思います。
(※)公益目的支出計画遂行中の法人を前提としています。
しかし、実施報告書の提出のほか、
変更の届出や、変更の認可申請に加え、
場合によっては、立入検査もあるとされているため、
これらに関し、予め認識しておく必要があります。
そこで今回は、
一般法人における行政庁とのかかわりについて、整理したいと思います。
<実施報告書の提出>
前述の実施報告書です。
事業年度終了後、3月以内の提出が求められます。
<変更の届け出>
次のいずれかに該当する場合、届け出が必要です。
1.名称、住所、代表者の氏名の変更
2.公益目的支出計画(支出計画)において以下の軽微な変更をする場合
@ 実施事業を行う場所の名称又は、所在場所のみの変更
A 特定寄附の相手方の名称又は、主たる事務所の所在場所のみの変更
B 予定日までの遂行完了が見込まれる、実施事業収入又は支出の変更
(実施報告書への記載・提出により変更の届け出不要)
C 合併予定の変更
3.残余財産の帰属についての定款上の変更
4.存続期間、解散事由についての定款上の変更
5.解散したとき(合併による解散を除く)
※上記2.Bについての補足
□ 予定日までに明らかに遂行完了しない場合 → 変更の認可申請
□ 上記以外(下記)の場合 → 変更の届け出
・予定日までに遂行完了見込みの場合(期間短縮の場合含む)
・予定日までの遂行完了が不明の場合
⇒ つまり、「明らかに遂行完了しない場合」 を除き、
実施報告書への記載・提出だけでOKということです。
<変更の認可申請>
支出計画を変更する場合、上記2.の軽微な変更を除き、認可申請が必要です。
<立入検査>
次のいずれかに該当する場合には、立入検査の可能性があります。
1.正当な理由がなく、支出計画の支出を行わない場合
2.各事業年度の支出が、支出計画に比べ著しく少ない場合
3.純資産額が公益目的財産残額に比べ著しく少なく、
支出計画の遂行に支障が生じる恐れがある場合
前述の変更の認可申請との関係において、立入検査についてまとめると、
「支出計画の長期化が明らかな場合には、変更の認可申請をしてください。
さもなくば、立入検査の可能性がありますよ」 ということです。
支出計画が10年以上の法人は珍しくなく、
この変化の大きな時代に、計画通りに遂行されるケースのほうが稀だと思います。
立入検査による、無用な負担を回避するためにも、適時の遂行管理は欠かせませんね。