2014年04月30日
「公益法人に課税強化論」
皆さんこんにちは、ペンデル税理士法人の福山です。
タイトルは今朝の日経新聞3面の記事の見出しです。
法人税の実効税率の引き下げ議論がこのところ話題にあがっていますが、
その財源の穴埋めとして、財務省が公益法人等への課税強化の検討を始めたとのことです。
主な検討項目は以下の3点です。
1.法人税の税率アップ(軽減税率の廃止・縮小)
2.課税対象範囲の拡大
3.資産運用益への課税
なお、それぞれの項目に関する公益法人への影響についてですが、
1.について
収益事業を利益獲得目的で積極的に実施している法人には、
相応の税負担の影響があるため、動向は注視すべきと思います。
ただ、そのような法人は限定的であり、附随的な位置付けで、実費程度の対価を
得て実施している法人がほとんどと思いますので、全体としての影響は少ないと思います。
2.について
課税範囲拡大により、新たに納税義務が発生するケースが想定されるため、
これまで収益事業を実施していなかった法人も注意が必要です。
ただ、仮に収益事業に該当しても、上記1で触れたとおり、実費程度の対価で実施
している場合には、税負担の影響は少ないと思います。
3.について
仮に課税となれば、運用益を主な財源として活動している助成財団等にとっては、
法人運営に大きな影響を及ぼすものと予想されます。
現時点では詳細はわかりませんが、今後の動向について注視が必要です。
財務省の今回の検討の表向きの理由は、財源穴埋めとのことですが、前述のとおり、
影響を受ける法人は限定的で、全体的としての税収増も多くは期待できないため、
穴埋め効果も薄いと思われます。
では、何故? ということですが、
今回とは別に、社会福祉法人に対しては、優遇措置の見直しが色々と検討されてきています。
これは、民間企業による介護・保育分野への算入等に伴い、「イコールフッティング」の観点から
政府の規制改革会議が求めているものですが、今回の課税強化も、一部の公益法人による
不祥事等を背景とした、社会の優遇批判を受けてのものとの見方もあるようです。
収益事業がなく、資産の運用益も僅少な法人にとっては、ほとんど影響はないと思われますが、
課税対象範囲の拡大も検討事項とされているため、今後の行方が気になりますね。