エッセイスト中森じゅあんの寄稿より〜
皆さんは、お子さんと触れ合うとき、何を一番大切にしていますか?
「のびのびと自由に育てたい」「一緒に成長したい」。
そう思っても、そんな願いとは裏腹に、つい口やかましく叱ったり、イライラすることは、ありませんか。
ときには、子育てに大きなストレスを感じていることがあるかもしれません。
育った環境、つまり子どもの頃に親から教えられた価値観や生き方が、強く影響を及ぼしていることが、よくあります。
もしかしたら、こんな価値観を持ってはいませんか?
「勉強ができないと、子どもの将来が心配だ」
「行動が遅いと何事にも損をする」
「あの子とは付き合わないでほしい」・・・。
子どもの幸せのためだと考え、
自分の価値観を正しいと思い込んで押しつけてはいないでしょうか?
「でも将来のためには、いい学校に入学させたい。」
「子どもが落ちこぼれたら大変だ」。
そんな反論も聞こえてきそうですが、
それは親がネガティブな感情にとらわれ、心配しているだけです。
子どものユニークな個性や才能を見いだし、
自由に伸ばしてあげる、愛情とは、違います。
子どもたちは、「親に認められ、愛されたい」「褒められたい」という純粋な承認欲求があります。
ですから、お母さん(お父さん)が自分の価値観を教えるほど、
子どもは「いい子になって喜んでもらいたい」
「叱られるのは、自分がダメだからだ」と、親の言う事だけに従って生きようとします。
中には、思春期になって猛烈に反発する子どももいますが、親の期待に応えようとする優しい子どもは、「お母さん(お父さん)の言うとおりしていれば安全だ、間違いない」と親の価値観を第一にして、頭だけの知識と判断だけで、生きようと頑張ります。
その結果、自分の「感じる力」「感性」が薄れ、自分自身が心から「やりたいこと」や「好きなこと」を感じられないままに成長していくのです。
「恋愛ができない」「自分の好きなことがわからない」「不自由なく暮らしているのに、心が満たされない」といった悩みをもつ人が、世代を超えて大勢います。
そして、その大半が、幼少のころに、すり込まれた親や世間の価値観に疑問をもたずに生きてきた人たちでした。
では、なぜ、親は自分の価値観を子どもに押しつけてしまうのでしょうか?
それは、お母さん(お父さん)自身も、
自分が育ってきた環境の中で、同じように親や祖父母、大人から教えられてきたからです。
あなたは親と同じことを、今、お子さんにしてはいませんか?
もちろん、その全てが悪いことだとは、言いません。
でも、それで満足な状況になっているでしょうか。
あなた自身、子どもの頃「親の言う事には我慢しても従わなければ・・・」「逆らったら叱られる」と思っていませんでしたか?
また、大人になった今、親の期待に応えられなかったという思いを、心のどこかに抱いてはいないでしょうか。
実は、そうした思いが少しでもあると、その罪悪感を埋めようとして、無意識に親から受け継いだ価値観を自分の子どもに植え付けてしまうのです。
また、そのような人ほど、ありのままの自分を認めて愛することが難しくなり、自分に対しても、子どもに対しても、「ダメだし」をして厳しくなります。
そして、他人と比べながら、周囲や社会の中で、人から認められることを優先して望んでしまうのです。
では、大切なあなたの子どもの独自性をのびのびと生かし、育てるにはどうしたらいいのでしょうか。
それは、今の自分を受け入れることです。
心理学では、人は幼少期に得られなかったものを、無意識に外の世界に求めて一生を送っていくものだと、言われます。
また心の中には、子ども時代に生じたマイナスの感情が癒やされず、認められないままになっている「インナーチャイルド」が存在し、同時に、自分を叱咤激励する「当時の親」が大人になっても住んでいるといわれています。
「叱られても言い返せなかった思い」
「親の一言に傷ついた体験」
「理解されない悲しさ」・・・
置き去りにしてきた幼い子どもの感情と、
「もっと頑張れ」「しっかりしなさい」と叱咤する親の存在。
それが、大人になったいまも、
自分の心の中に同居し、心の癒やしを他者に求め、同時に、頑張ってもみたされない自分に対しても、叱咤し続けて苦しむということです。
感情は、エネルギーですから、どんなにフタをしても、無かったことには出来ません。
その抑圧された思いや感情は、今の家族や職場での人間関係など、さまざまな現実社会での人間関係の中で、歪んだ形として表れます。
そして子どもには、自分が生育歴の中で身につけてきた価値観を押しつけてしまい、悩みを生むことになるのです。
ですから、何か問題が起きたとき、外側に解決を求めても上手くいきません。
その理由は、解決の糸口はすべて「自分自身の心の中」にあるからです。
このことを肯定的にとらえれば、人間関係や様々な問題で悩む時こそ、過去の自分の感情に気づいて、解放するためのチャンスにできます。
自信がない、よくイライラする、怖れや不安があるなど、
そうしたネガティブな自分になったときには、その感情を無視せず、拒否しないでください。
ただ、向き合ってみてください。
それは、過去にフタをしてきた幼いあなたの感情が「自分に気づいてほしい」と言っているメッセージの一つだからです。
特に、子どもは親の鏡と言われていますので、子育ての壁にぶつかったときには、何よりもまず、自分の心を見つめ直す喜ばしい機会だと前向きに受け止めましょう。
そして、自分が親との関係で癒やされない思いがいま浮上してきていると感じたなら、大人の自分から、思いやりをもって「内なるその子」に語りかけてみましょう。
「辛かったね。もう大丈夫だよ。これまで本当によく頑張ってきたのよね」そうねぎらい、感謝して過去の感情を手放していくと、「色んなことが、あったけど、今、こうして生きている自分がありがたい」と、自分の本質を少しずつ取り戻し、容認できる豊かな心になっていきます。
そして、子どもの頃に好きだったものや、いまやりたいと思うことに取り組んでみるのも効果的です。
人は、自分の持っているものしか、他者に与えることはできないと、言われています。
ですから、お母さん自身が自分を愛し、いまの幸せをかみしめた分だけ、夫や子どもにその思いを送ることができるのです。
もう、過去にとらわれて生きる必要はありません。過去の自分にさよならをして、好きなことをワクワクしながら楽しんで生きましょう。お母さんのその姿に、きっと子どもも安心して、自ら進んで好きなものを発見し、チャレンジしていくことでしょう。
そして、そのこどもを温かく見守ってあげてください。
「何をやっても大丈夫」「失敗したって平気だ」。
根っこにそうした信頼と安心感があれば、たとえ一度や二度挫折を味わったとしても、子どもは自分の短所も長所も受けとめながら、本来持っている才能を自由に伸ばしていくことができるのです。
お母さんが、今ある幸せを心から味わいながら、子どもの「安心基地」となって、親子で豊かな人生を想像されることを願っています。
参考:子どもに学ぶ家庭教育2018 エッセイスト中森じゅあん
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