〜新しい善意(マゴコロ)の届け方
震災がつなぐ全国ネットワーク・発行

2005年12月、とあるニュースが災害救援団体・関係者の間を駆けめぐったそうです。
それは、「長岡市が原則として個人からの救援物資を断ると、地域防災計画を改定した」ということです。
発行者の「震災がつなぐ全国ネットワーク」は災害救援や復興支援、防災などの活動に取り組んでいるボランティア団体のネットワーク組織です。
災害現場において、善意の救援物資が実は大きな混乱を巻き起こしているそうです。
目からウロコの一冊です。
被災地において救援物資の受け入れ・仕分け・配布が非常に大変だということは聞き及んでいましたが、実際には「第二の災害」と呼ばれるような大きな課題を生んでいることを本書を読んでよく理解することができました。
2005年の中越地震や1991年の雲仙普賢岳噴火災害、93年の北海道南西沖地震、95年の阪神・淡路大震災、04年の台風23号豊岡水害などの被災地の事例で、救援物資がどのような課題を引き起こしたかの検証が報告されています。
中越地震では、約46,000件10tトラック換算で約445台相当の支援物資が届いたそうです。
・保管場所をどうするか
・一つの段ボールに食べ物と衣服が入っているケースもあり、その仕分けをどうするか
・公平性をもって配布しなければならない状況や避難所が点在している中でどのように配布すればよいか
・実際には使用できない物資(洗濯もされていない下着や賞味期限切れの食料)をどうするか
被災地で本当に必要としている物資と送られてくる物資のマッチング、荷物の仕分けや配布を行うための労働力など、現地の状況に応じた物資とその送り方(仕分け・配布の人手付き)が必要とされています。
実際の事例の検証から説明なされていて非常にわかりやすくまとめられています。
特に個人からの救援物資は、数量がそろわないこと、食べ物と衣服などが一緒の箱で送られてくる、実際に被災者が使用できないようなもの(洗濯されていない古着や賞味期限切れの食料)が送られてくるケースがあり、その仕分けや配布などから実際に活用できない状況があり、最終的には廃棄処分にせざるを得ない現状があるそうです。
このような中で、2007年の中越沖地震では、これまでの被災地の反省をもとにあらたな動きがでてきたそうです。新潟県では、地震当日の夜に個人からの救援物資は受け付けないことを決め、翌日には県のHPでは発表を行ったとのことです。
本書ではこれまでの被災地の様々な状況から得られた教訓をまとめ、新たな救援物資のあり方を提言しています。また、実際に行われた支援の中から参考となる実践例の紹介もあります。
このような支援活動で必要なものは、相手に寄り添うことと、想像力を働かせるということをあらためて思い知らされました。
災害救援の分野に限らず、公益活動やボランティア活動すべてに共通することですね。
Book人にやさしく 山田泰久
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